蒲谷宏研究室 GSJAL日研-早稲田大学大学院日本語教育研究科

新着情報――蒲谷宏研究室

お知らせ

【新刊】蒲谷宏(著)『敬語マスター――まずはこれだけ 三つの基本』

一生役立つ敬語の力を,あなたのものに。

敬語を使いたいけれど,きちんとした知識がなくてためらってしまう――そんな人のために,敬語の基礎的な知識と使い方をまとめた一冊。「高くする敬語」「改まりを示す敬語」「恩恵を表す敬語」の三つの基本を軸にしたわかりやすい解説と,多くの例文・練習問題で,どんな場面でも自信を持って敬語が使えるようになる!(大修館書店による紹介文)

「はじめに」より

この本で用いる方法は,敬語ではない普通の言葉をどのようにして敬語に言い換えればよいのかを示す,というものです。普通の言葉を敬語にすることを「敬語化」と呼ぶことにしますが,その際,敬語を三つの観点から整理して説明します。一つ目は「高くする敬語」,二つ目は「改まりを示す敬語」,そして三つ目は「恩恵を表す敬語」です。敬語を使いこなすためには,これらの敬語についての理解を深めること,実際の場面においてこれらの敬語を使って敬語化をしてみることが大切です。この三つのタイプの敬語が上手に使えるようになれば,敬語に関してはほぼマスターできたことになります。

この本は,〈敬語は使っているけれど,自信をもって使えているわけではない〉という人たちの再整理のためにも,そして,〈敬語をどのように教えればよいのか考えている〉という人たちにも,ぜひ活用してほしいと思っています。

目次

  • 第I部 基礎編
    • 第一章 高くする敬語
      1. 高くする敬語(1):「高くする敬語(1)の専用語形/「~(ら)れる」/「お・ご~になる」「お・ご~なさる」/「お考え」・「ご説明」/「御社」・「玉稿」◆「高くする敬語(1)」への敬語化チェック
      2. 「高くする敬語」(2):「高くする敬語(2)」の専用語形/「お・ご~する」「お・ご~申し上げる」/「お届け」・「ご報告」◆「高くする敬語(2)」への敬語化チェック
    • 第二章 改まりを示す敬語
      • 「改まりを示す敬語」を用いた敬語表現/「お・ご~いたします」◆「改まりを示す敬語」への敬語化チェック
    • 第三章 恩恵を表す敬語
      1. 「恩恵を表す敬語(1)」――サシアゲル系:◆「恩恵を表す敬語(1)」――「サシアゲル系」への敬語化チェック
      2. 「恩恵を表す敬語(2)」――クダサル系:◆「恩恵を表す敬語(2)」――クダサル系への敬語化チェック
      3. 「恩恵を表す敬語(3)」――イタダク系:「形」の整理/「イタダク系」=「高くする敬語(2)」+恩恵/「~(さ)せていただく」の問題◆「恩恵を表す敬語(3)」――「イタダク系」への敬語化チェック
  • 第II 部 実践編
    • 敬語表現【例1】…講演会講師依頼(文書)/敬語表現【例2】…推薦状依頼(対面)/敬語表現【例3】…推薦状依頼(メール)/敬語表現【例4】…お詫び(掲示)/敬語表現【例5】…文部科学大臣諮問理由説明(ご挨拶)
    • 第一章 高くする敬語への敬語化
      1. 高くする敬語(1)への敬語化
      2. 高くする敬語(2)への敬語化
    • 第二章 改まりを示す敬語への敬語化
    • 第三章 恩恵を表す敬語への敬語化
  • おわりに/【参考】敬語化一覧表/参考文献/索引
  • コラム
    • 「高くする」?/「自分」を「低くする」のか,「高くしない」のか?/「ご説明される」?/「お帽子」はいつも「高くする敬語」?/「課長は社長に申し上げましたか」?/「朝ごはんをお食べしました」?/「お・ご」は,自分の動作についてはいけない?/「低くする敬語」――「弊社」「拙稿」/「ウチ・ソト」の関係/「お茶を入れてさしあげて。」/「うちの子に教えてやってください。」/「お話ししてくださる」?/「お話ししていただく」?

【新刊】蒲谷宏(著)『待遇コミュニケーション論』

  • 表紙大修館書店より,2013年4月刊
  • 定価:2,940円(A5判・352頁)
  • ISBN:978-4-469-22227-2
  • 目次
    1. はじめに
    2. 本研究の目的と意義
    3. 考察のための理論的枠組み
    4. 待遇コミュニケーションにおける敬語
    5. 待遇コミュニケーションとしての敬語コミュニケーション
    6. 待遇コミュニケーションの諸相
    7. まとめと今後の課題
    詳しい目次 >

他人とコミュニケーションをとろうとするとき,どんな場面──私と相手の関係と,話題の人物との関係,その場の状況──で,どのようなことに注意して表現するのか。敬語表現などを中心に,実際に使用される表現を分析しつつ,コミュニケーションの仕組みについて明らかにしていく。

「はじめに」より

「待遇コミュニケーションとは何か?」という問いに対する最も簡潔な答えは,「待遇表現」に「待遇理解」の観点を加えてコミュニケーションを捉えたものだ,ということになる。また,「待遇とは何か?」という問いに対する最も簡潔な答えは,「人間関係」と「場」に重点を置いてコミュニケーションを捉えようとする観点だ,ということになる。

しかし,これだけの説明では,待遇という観点も,待遇コミュニケーションという捉え方も,よくはわからないだろうと思われる。

「待遇」という捉え方を理解しやすくするものは,「敬語」という用語であろう。「待遇コミュニケーション」ではなく,「敬語コミュニケーション」であれば,それが「人間関係」や「場」に重点を置いてコミュニケーションを捉えようとするものであるということも,わかりやすくなるかもしれない。それゆえに,これまでは,「敬語表現」や「敬語コミュニケーション」という用語によって,待遇表現や待遇コミュニケーションについて説明してきたわけである。しかし,敬語表現や敬語コミュニケーションの背景となっている考え方が待遇表現や待遇コミュニケーションなのであり,敬語表現や敬語コミュニケーションはその一つの現れなのである。

本書では,そうした「待遇コミュニケーション」という捉え方を前面に出して,敬語や敬語表現や敬語コミュニケーションの本質を明らかにし,敬語表現や敬語コミュニケーションを超えた表現やコミュニケーションの仕組みを解き明かすことにしたい。

ただし,本書で扱う具体的な対象となるのは,現代共通日本語における待遇コミュニケーションである。それは待遇コミュニケーションを対象とする研究領域の中の一部にしかすぎない。待遇コミュニケーションという捉え方の射程は,現代語や共通語や日本語に限るものではなく,さらに言語も超えた様々な行為や現象に及ぶものなのである。したがって,本書ではその点を自覚しつつ,現代共通日本語における「待遇コミュニケーションとは何か?」「待遇とは何か?」に対する一つの回答を,具体的に明らかにしたいと思っている。