第14号(2023年11月刊行)

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目次

特集:「子どものことば」を育むとは ― 親子の視点から


研究論文 ― 特集:「子どものことば」を育むとは ― 親子の視点から


実践報告 ― 特集:「子どものことば」を育むとは ― 親子の視点から


エッセイ ― 特集:「子どものことば」を育むとは ― 親子の視点から



研究ノート


実践報告


エッセイ


特集:「子どものことば」を育むとは ― 親子の視点から

緒言

川上 郁雄(編集委員会委員長)
■Entry
川上郁雄(2023).緒言―特集:「子どものことば」を育むとは―親子の視点から『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,1-2.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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【特集:研究論文】
ニューカマー親子の継承語教育・学習への認識と親子関係の様相

中家 晶瑛(お茶の水女子大学大学院人間総合科学研究科比較社会文化学専攻博士前期課程修了)
■要旨
本研究では,ニューカマー一家4名の親子の視点から,親の継承語教育および子の継承語学習への認識と親子関係の様相を明らかにした。その結果,以下2点が明らかになった。1点目は,親子が継承語・学習に抱く認識に,ずれが存在したことが明らかになった。しかし,それにもかかわらず,親の配慮や態度等から姉弟は継承語への言語不安であるHLA(Heritage Language Anxiety; 継承語不安)(Sevinç & Backus,2017)を抱かず,結果的に継承語学習を断念せずに遂行できた。ここから,親は子に,継承語にネガティブな気持ちを抱かせない工夫を優先する重要性が示唆された。2点目は,姉弟の「移動とことば」(川上,2017)の経験から,親子関係の変遷と動態的な様相が見られた。また,本研究の親子は,継承語教育・学習を良好な親子関係やアイデンティティを保持する教育と意味づけず,両親は継承語教育を,子と親戚の意思疎通達成のための言語教育,姉弟は継承語学習を,人生における「出発点となる経験」とそれぞれ意味づけたことが明らかになった。
■キーワード
  • ニューカマー家庭
  • 継承語教育
  • 親子関係
  • 継承語不安
  • 移動とことば
■Entry
中家晶瑛(2023).ニューカマー親子の継承語教育・学習への認識と親子関係の様相『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,3-30.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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【特集:実践報告】
複言語・複文化ワークショップにおける言語マップ活動の意義と可能性 ― 言語マップ活動が育める能力や姿勢とは

松岡 里奈,藤井 瑞葉,川合 友紀子,常見 千絵(いずれも,JMHERAT運営委員)
■要旨
本稿はタイにおける母語・継承語としての日本語教育研究会(以下,JMHERAT)が実施する複言語・複文化ワークショップのうち,JMHERATが開発した「言語マップ」を用いた活動(以下,言語マップ活動)に焦点を当て,過去のワークショップにおける参加者の感想より得られた気づきから,言語マップ活動の意義について考察した。その意義とは,誰しもが複言語・複文化で生きているということに気づきを起こせること,自分を肯定的に認めるという姿勢の変化を起こせる可能性があるということ,「関係性マップ」と「言語ポートレート」をより豊かに描けるようになるということだとわかった。また,言語マップ活動の意義を多面的に捉えるために複言語教育で促進できるとされている能力や姿勢と対照して考えたところ,言語マップ活動は他者の複言語性の認知と,互いの価値や互いの文化的アイデンティティの尊重という姿勢を育めていることはもちろんのこと,複言語・複文化能力の基礎とも言える自己の尊重を促進することができる活動だということがわかった。
■キーワード
  • 複言語・複文化ワークショップ
  • 言語マップ活動
  • 複言語・複文化能力
  • タイに生きる日本に繋がる親・子ども・教師
■Entry
松岡里奈,藤井瑞葉,川合友紀子,常見千絵(2023).複言語・複文化ワークショップにおける言語マップ活動の意義と可能性―言語マップ活動が育める能力や姿勢とは『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,31-51.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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【特集:エッセイ】
愛着関係の中で育つことば ― 息子の自立に向けた成長の物語

子安 芙美(タイ在住)
■Entry
子安芙美(2023).愛着関係の中で育つことば―息子の自立に向けた成長の物語『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,52-65.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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【研究ノート】
情動の視点から見る「移動する子ども」学

川上 郁雄(早稲田大学大学院日本語教育研究科)
■要旨
幼少期から複数言語環境で成長した人の「経験と記憶」の根底に「感情」「感覚」「情念」の主観的意味世界が関わっているのはなぜかという課題について,生物学・脳科学・哲学の最新研究成果である「移動知」「情動」「自己物語」の諸点から検討した。その結果,幼少期・成長期の空間,言語間,言語教育カテゴリー間の移動と複数言語接触が「ソマティック・マーカーと結びつく基本的,形成的刺激」を生じ,脳―身体―環境のダイナミクスの中で,子ども自身の適応的行動,アイデンティティ形成,子どもの生き方,そして情動の力で紡ぎ出される「自己物語」を生み出す可能性を論じた。以上の検討から,「移動する子ども」学に情動が不可欠な視点であり,情動の視点を取り入れた実践研究の必要性を指摘した。
■キーワード
  • 移動する子ども
  • 経験と記憶
  • 移動知
  • 情動
  • 自己物語
  • 感情・感覚・情念
  • ソマティック・マーカー仮説
  • 主観的意味世界
■Entry
川上郁雄(2023).情動の視点から見る「移動する子ども」学『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,66-80.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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【実践報告】
児童の伴走者としての教師の在り方 ― ある国際教室の教師と児童の1年半の日本語指導から見えたこと

塩田 紀子(教育委員会派遣日本語母語支援員)
■要旨
ある小学校の国際教室に通う児童が,国際教室の教師の指導を受け,1年半で,日本語を読む力が大幅に向上し,学ぶ姿勢が変化した。それは,ある小学校の国際教室の教師が,児童に学びの楽しさを知ってほしいという願いから,その目標に向かい,児童の課題を様々な面から把握し,児童の精神面を支え,児童に適応する指導法や指導内容を徹底的に考え,実施したからであった。教師の課題把握から,その課題克服のために実施した1年半の様々な日本語指導,それらの指導を実施した理由,また,どうして児童のことばの学びが進む授業ができたのかを,実践記録,教師の質問紙への回答,メールでの質問への回答から探った。そして,児童の読む力を伸長し,学ぶ姿勢を変化させるのに,何が必要だったのかを考察した。
■キーワード
  • 国際教室
  • 目指す子ども像
  • 学びの楽しさ
  • 課題の把握
  • 教師の知識・経験
  • 児童に適応した指導
  • 伴走者
■Entry
塩田紀子(2023).児童の伴走者としての教師の在り方―ある国際教室の教師と児童の1年半の日本語指導から見えたこと『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,81-93.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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エッセイ

「自分らしさ」とは何か ― 複数言語環境で成長する子どもとの出会いを通して

北村 名美(早稲田大学大学院日本語教育研究科修了)
■Entry
北村名美(2023).「自分らしさ」とは何か―複数言語環境で成長する子どもとの出会いを通して『ジャーナル「移動する子どもたち」―ことばの教育を創発する』14,94-96.http://gsjal.jp/childforum/journal_14.html
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