中国帰国者定着促進センターで
齋藤恵(研究内容紹介)
帰国者センターでの最初の4ヶ月
中国帰国者定着促進センター(以下,帰国者センター)に勤め始めてから,4ヶ月が経ちました。帰国者センターは,中国,ロシアから日本に永住帰国した帰国者本人とその家族を対象に6ヶ月間の適応教育を行う機関です。毎年6月と12月が学生の入退所時期になります。
私がセンターに勤務し始めた当時入所していた学生たち(第76期生)は,既にセンター入所後4ヶ月が経っていました。私は「一番の新参者」として帰国者センターに入ったわけです。今回は,センターでの最初の4ヶ月を振り返ってみます。
- 2005年4月
- 勤務開始。センターで,1日2~4時間くらいずつ授業を担当し始めました。76期生は,大人4クラス,子ども2クラスの計6クラスで構成されていました。各クラスの授業を担当し,学生と自己紹介をし合うことから,センターでの講師生活が始まりました。帰国者センターの学生は,年代も出身地も来日前の職業や学習歴も非常に多様です。「中国帰国者」という一言で括りきれないことを改めて実感させられました。
- 2005年5月末
- 76期生修了。全国各地の定着地へ移っていきました。たった2ヶ月しか一緒に過ごすことができませんでしたが,笑顔半分・泣き顔半分で学生さんたちを見送りました。
- 2005年6月~現在
- 77期生入所。私は中学生クラスの担任をすることになりました。クラス担任の大きな業務は,1週間毎にクラスの時間割を組み,必要な教案を用意し,授業担当の先生にそれを伝達することです。センターのカリキュラム表や教材等とにらめっこし,先輩の先生に助けてもらいながら,授業準備に追われる日々が始まりました。
そして,あっという間に,6ヶ月の研修期間の三分の一が終わりました。生徒たちは,文字や文法,社会や数学の授業,日々の授業を担当する講師や外部のお客さんとの交流,センター外での実習を通じて,着実に日本語の力をつけてきています。中でも,センターの外に出て,電車に乗ったり,お店で買い物をしたり,郵便局や図書館へ行ってみるなどする「実習」の時間が気に入っているようです。毎日交替で書かせている「学級日誌」にも「実践の中の方が,言葉や知識をたくさん学べる」と書いてくる生徒もいます。残り三分の二の研修期間も,「実践」や「交流」と,日本語の学びを結びつける授業案を練って,実践していきたいと思っています。