目黒プロジェクト

目黒プロジェクトの概要

目黒区教育委員会と早稲田大学大学院日本語教育研究科は2008年2月に協定を締結し,2008年度より目黒区の「日本語指導の必要な児童生徒」への新たな日本語教育支援を開始しました。

協定の柱には,以下のふたつがあります。

  1. 日本語教育コーディネーターの設置
  2. JSLバンドスケールの活用

鈴鹿市と同様に,目黒区の日本語教育コーディネーターは,年少者日本語教育の専門家です。

目黒区の日本語教育コーディネーターは河上加苗さん[研究紹介]。河上さんは学部で日本語教育を専攻し,早稲田大学大学院日本語教育研究科で年少者日本語教育の専門的訓練を受け,かつJSL児童生徒への日本語教育実践をもとに研究を行い,修士号を取得されました。加えて海外(ベトナム,ペルー)での長年の日本語教育の教授経験もあります。また日本の教員免許も取得しており,学校教育に関する知識と経験が豊富です。

目黒プロジェクトの特徴は,早稲田大学との連携です。目黒区では小中学校の10校あまりでJSL児童生徒の「取り出し指導」(日本語教室)が行われていますが,その子どもたちを指導する日本語指導員(10数名)はすべて早稲田大学大学院で年少者日本語教育を勉強した院生や修了生です。その日本語指導員と学校,教育委員会との連絡や日本語支援をリードするのが,日本語教育コーディネーターの大きな役割です。さらに,これらの指導員と指導内容の協議や子どもの情報の共有化を図る日本語指導員会議を定期的に行うのも,日本語教育コーディネーターの仕事です。現在,この会議は早稲田大学を会場に行なわれています。

またこの会議では,常にJSLバンドスケールによるJSL児童生徒の日本語能力の把握を行っています。日本語教育コーディネーターはもちろん,日本語指導員もJSLバンドスケールに精通しており,議論の核心には常に子どもの「ことばの力」への共通理解があります。

このような年少者日本語教育の専門家が日本語教育コーディネーターとして教育委員会に採用され,教育委員会に常駐しながらも,学校現場と大学とを結び付けて日本語教育支援システムを構築しているのが,目黒プロジェクトの最大の特徴です。

このように,私たちの社会は,年少者日本語教育の専門家集団を配置した本格的な年少者日本語教育を実施する時代に入ったと言えるでしょう。その意味で,鈴鹿市と同様に,今後ますます目黒プロジェクトの展開が期待されます。

目黒区教育委員会と早稲田大学大学院日本語教育研究科,協定締結!!

2008年2月末,目黒区教育委員会で,早稲田大学大学院日本語教育研究科との協定が締結されました。

協定の骨子は鈴鹿市と同様で,区内のJSL児童生徒への日本語指導を統括する「国際理解教育支援員(日本語教育担当)」というコーディネーターを設置すること,および「JSLバンドスケール」を採用することが盛り込まれています。

東京都内で,このような協定を結ばれたのは初めてです。今後の展開が期待されます。