「移動する子どもたち」のことばの教育学
川上郁雄(著)
- 2011年2月,くろしお出版より刊[紹介ページ]
- 定価: 3,600円+税
- 書評
本書は「移動する子どもたち」のことばの教育と生き方をテーマにしている。「移動する子ども」とは(1)空間的に移動する子ども,(2)言語間を移動する子ども,(3)言語教育カテゴリー(第二言語教育,外国語教育,継承語教育,母語教育等)の間を移動する子どもという意味である。このような「移動する子ども」は現在,人の移動にともない世界中に急増している。本書では,主に,日本において日本語を第二言語として学ぶJSL児童生徒を取り上げて,「移動する子ども」のことばの教育と自己形成をどのように捉え,どのような教育実践を行っていくべきかを追究する。
もくじ
- 序:「移動する子どもたち」のことばの教育を考える
- 第1部 なぜ「ことばの力」の把握が大切か
- 「移動する子どもたち」のことばの教育とは何か
- ことばの力の捉え方が言語教育のあり方を決定する
- 子どものことばの力を把握することの意味とは
- 第2部 「移動する子どもたち」のことばの学びをどうデザインするか
- 「移動する子どもたち」とどう向き合い,実践を行なうのか―主体性と動態性の年少者日本語教育学
- 実践と「教材」はどう結びつくのか―移動する子どもたち」への実践的教材論の試み
- 学校教育環境を捉え直す―日本語教育コーディネーターの創設
- 第3部 「移動する子どもたち」のアイデンティティと「ことばの力」
- 「移動する子どもたち」に必要な「ことばの力」を捉え直す
- 「移動する子どもたち」のアイデンティティの課題をどう捉えるか
- 「移動する子どもたち」への支援と連携とは何か
- 終章 「移動する子ども」学の創発へ向けて――日本語教育学的語りと文化人類学的語りの節合