公開研究会の記録
- 第8回: PAC(Personal Attitude Construct)分析使用の可能性と留意点について考える
- 第7回: コミュニケーション活動を柱とした初級クラスの学びを質的に分析・記述する試み
- 第6回: 他者のライフストーリーを書くとはどういうことか ― 語り手の物語と研究者の物語の関係性
- 第5回: 授業研究のための質的データとは何か ― 授業ダイアリーの可能性
- 第4回: 日本語学習者は,語るべき物語をもっている ― ライフヒストリアンとしての私が,その「日本語人生」に出会って
- 第3回: 講演「日本語学習活動への質的アプローチ」
- 第2回: 移動する子どものことばの学びを捉える ― エピソード記述による試み
- 第1回: 相互自己評価をめぐる質的研究 ― M-GTAによる分析
第8回: PAC(Personal Attitude Construct)分析使用の可能性と留意点について考える
- 日時: 2009年11月13日(金)17:00~19:00
- 場所: 早稲田大学早稲田キャンパス22号館8F会議室★
- 話題提供者: 坪根由香里(早稲田大学日本語教育研究センター)
- ご参考:「質的調査法研究会」これまでの記録,ほか
★直接会場へお越しください
発表要旨
日本語教師はどのような実践的思考を行い,自分のとるべき教授行動を決定しているのか,またこうした実践的思考は,何を裏付けになされているのか。これらを解明するために,発表者は,共同研究として教師の実践的思考の解明を目的としたマルチ・メソッド研究を進めています。
具体的には,ある日本語の授業をビデオで見ながら気づいたこと感じたことなどをその場で口頭で再生してもらい,そのプロトコル等を分析することで,教師が即興的にどのような実践的思考をしているかを明らかにしようとしました。しかし,この研究では,データ解釈の際,調査者の主観が入りやすい等の問題点が浮かび上がりました。そこで,新たな研究では,できるだけ調査者の主観を排除するため,上記調査の他にPAC分析も実施し,教師個人の思考について質的に分析することにしました。また,PAC分析を行うことにより,プロトコル等に現れた思考の背景にある被験者の教師観,授業観やそれらを形成する要因を探ることができると考えました。
PAC分析では,半構造化インタビューとは違い,自由連想法を用い,また,KJ法とは異なり,類似度評定から得られたデンドログラムを使用してインタビューを行います。そこから得られる長所がある一方で,PAC分析を用いる際にはいくつかの留意点・問題点もあります。それらについて,皆さんと一緒に考えていきたいと思います。ご参加をお待ちしています。
参考文献
時間がある方は,事前にお読みください。
- 内藤哲雄(2002).『PAC分析実施法入門〔改訂版〕 ― 「個」を科学する新技法への招待』ナカニシヤ出版.
第7回: コミュニケーション活動を柱とした初級クラスの学びを質的に分析・記述する試み
第7回「質的調査法研究会」は,「コミュニケーション活動を柱とした初級クラスの学びを質的に分析・記述する試み」をテーマとして,以下の要領で開催します。どなた様もふるってご参加下さい(事前登録等不要。直接会場にお越し下さい)。
発表要旨
本発表は,発表者グループが実践している初級クラス(早稲田大学日本語教育研究センター設置の「できる日本語1」)に関する質的研究の過程を報告するものです。
この初級クラスは,学習者同士のコミュニケーション活動を柱として設計したクラスです。学習目標は,自分のコミュニケーションができるようになることで,学習方法は学習者自身の話題や考えをクラスメート同士で交換(コミュニケーション)することです。従来の初級クラスのような文型の積み上げを学習の主目的に置いていないため,文型を積み上げるためのメインの教科書を指定していません。
このように,教科書がなく,コミュニケーション活動を柱とした初級クラスで,果たして学習者は「どのようなこと」を「どのように」学んでいるのでしょうか。08年度秋学期からチームを組んだ発表者グループは,この問いを明らかにしたいと思いました。
そこで,学習者の学びを明らかにし,記述するため,質的な研究方法によって分析してみることにしました。今回は,08年秋学期「できる日本語1A」クラスで学んでいた学習者のヨウさん(仮名)が語った(書いた)「活動の振り返りの記録」を分析資料として,ヨウさんがこのクラスで「どのようなこと」を「どのように」学んだかについて分析した結果を発表し,参加者の皆様からのフィードバックを得たいと考えています。
第6回: 他者のライフストーリーを書くとはどういうことか ― 語り手の物語と研究者の物語の関係性
2月の研究会は再びライフストーリーがテーマです。今回は太田裕子さん(日本語教育研究科博士後期課程)に話題提供をお願いしました。11月の研究会での議論をさらに深められればと思います。
みなさまのご参加をお待ちしております。
- 日時: 2009年2月6日(金)15:00~17:00
- 場所: 早稲田大学早稲田キャンパス22号館 8階会議室
- 話題提供者: 太田裕子(早稲大学大学院日本語教育研究科)
発表要旨
日本語学習者や日本語教師の経験や実践知,意味世界の形成過程を,本人の語りから捉えようとするとき,ライフストーリーは非常に有効な方法です。今回は,11月の研究会に引き続き,日本語教育研究におけるライフストーリーについて議論したいと思います。
個人のライフストーリーは,語り手の置かれた状況や時間によって変化します。さらに,語り手によって語られたライフストーリーを「他者」である研究者が書くとき,様々な要素がライフストーリーに影響を与えていきます。
例えば,研究者である「私」の問題意識,「私」と語り手の関係,「私」が語りたい物語の存在などです。これらの要素が,ライフストーリーの語り,解釈,記述を方向づけます。
今回の研究会では,日本語教育研究において他者のライフストーリーを書くことと,研究者である「私」の関係を,皆さんと一緒に考えたいと思います。話題提供として,私自身がオーストラリアの日本語教師のライフストーリーを書く上で直面した課題や工夫した点を,具体的な事例を挙げながらお話します。
その上で,次の問題について,皆さんと議論できればと思います。
- 他者の物語と研究者の物語の関係とは
- 日本語教育研究におけるライフストーリーの位置づけとは
- 他者のライフストーリーを「私」が書く上で留意することとは
第5回: 授業研究のための質的データとは何か ― 授業ダイアリーの可能性
- 日時: 2008年12月12日(金)6:30~8:30(22号館502教室)
発表概要: 武一美,古屋憲章,今井なをみ((株)早稲田総研インターナショナル)
私たちは自らを日本語教育の実践家であると位置づけている。実践家にとっての研究とは,何をすることであろうか。私たちは,自らの授業を《よりよい》ものにするために,自らが行なった授業を題材に考えることが実践家にとっての研究ではないかと考えている。具体的には,次の三つの行為を循環的に行うことである。
- 3.で把握した授業の全体像をもとに,自らの授業をデザインする。
- 1.の授業を実践しつつ,教室で起こっていることを記述する。
- 授業終了後(学期終了後),2.の記述を参考に,授業の全体像を把握する。
私たちは,上述した2.の行為を行った結果,産出される授業ダイアリーが授業研究のための有力な質的データであると考えている。本発題では,授業ダイアリーが授業研究のための有力な質的データであることを,私たち自身の経験を語ることを通して,示したいと考えている。その上で,授業研究のための質的データとしての授業ダイアリーの可能性について,参加者の方々と話し合ってみたい。
第4回: 日本語学習者は,語るべき物語をもっている ― ライフヒストリアンとしての私が,その「日本語人生」に出会って
- 2008年11月20日(木)6:00~8:00(22号館8階会議室)
発表概要: 鄭京姫(早稲田大学日本語教育研究科)
「日本語学習者は,語るべき物語をもっている」
この思いから,「日本語ライフヒストリー」研究は始まった。4年半にわたり25名の「日本語人生」に出会った発表者が,なぜライフヒストリーに惹きつけられ,研究方法を模索し,どのように自分なりにデザインしてきたのかを示したい。そして,その過程から会場のみなさんにライフヒストリーを感じていただき,共有していただきたい。さらに,日本語学習者が語る「日本語人生」から,日本語教育におけるライフヒストリー研究の必要性と可能性について考える場を設けたい。
第3回: 講演「日本語学習活動への質的アプローチ」
- 2008年6月27日(金)17時から(22号館8階会議室)
講演概要: 柴山真琴氏(鎌倉女子大学大学院児童学研究科教授)
言語に媒介された人間の社会的活動を質的に研究することで,我々は何を知ることができるのだろうか。活動に参加する人々の意味づける行為を解釈することは,質的研究の特徴の1つである。本講演では,研究方法論としての質的研究法の骨格を確認しつつ,フィールドデータに潜在する意味を解釈していくプロセスについて解説する。(柴山真琴)
第2回: 移動する子どものことばの学びを捉える ― エピソード記述による試み
- 2008年5月30日(金)18時から(22号館8階会議室)
- 話題提供者:尾関史(早稲田大学日本語教育研究科)
第1回: 相互自己評価をめぐる質的研究 ― M-GTAによる分析
- 2008年2月1日(金)午後4時より(22号館8階会議室)
- 話題提供者:市嶋典子(早稲田大学日本語教育研究科)