修士課程修了生:

照山 法元(テルヤマ ノリモト)

2006年春入学 11期生

学部生時代に「日本人が日本語で日本語を教える」という世界があることを知り,大学卒業後,日本語教師養成講座に通うことにしました。そして,養成講座修了後は日本語学校で教えていました。

大学院進学を決意したのは,この日本語学校での経験からです。上級レベルの学習者でも複合動詞が使えていないと感じたことがはじまりです。日本語教育の現場であまり教えられて来なかった分野だとも思っています。

修了後は,2008年9月から韓国外国語大学で会話の授業を担当しています。学生は,大学入学前から日本のドラマや漫画,歌などに親しんでおり,日本語で話すということを非常に楽しんでいる様子で,興味・関心は高いです。もちろん,就職のためという現実的な目標もありますが,日本語で話せる機会である会話の授業の時間を大切にしているようです。彼らの期待に応えられるよう,日々考えています。

研究テーマ

日本語教育において,中上級レベルでの複合動詞の体系的な指導が必要であると考える。

日本語学習者にとって,複合動詞の学習・習得は困難だと言われてきた。その理由として,指導時間の不足や指導法が確立していないことが挙げられるが,何より,指導する語さえ特定されていないという大きな問題があった。

そこで,複合動詞の中から「~出す」を取り上げ,日本語教育における複合動詞の指導語彙の選定を試みた。今後は,指導語彙の選定方法に改善を重ね,体系的な指導に向けて指導法の提案を行っていきたい。

論文

  • 照山法元(2010).日本語教育における複合動詞の体系的な指導・学習に向けて ― 韓国人日本語学習者への連語による「~出す」の調査から『日本研究(韓国外国語大学校日本研究所)』43,583-602.
  • 照山法元(2009).日本語教育における複合動詞「~出す」の学習語彙の選定『早稲田日本語研究』18,24-35.
  • 照山法元(2008).『日本語教育における複合動詞「~出す」の指導語彙の選定』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 照山法元(2006).連語による重要語の指導について ― 語彙指導実習の内容と学習者の作成した文から『早稲田大学日本語教育実践研究』5,139-148.[DOWNLOAD

発表

  • 照山法元(2010年11月19日).「『日本語学習者のための複合動詞』作成のための試み ― 『~出す』を例として」韓国外国語大学校日本語大学語学コロキウム.
  • 照山法元(2008年7月5日).「日本語教育における複合動詞「~出す」の指導語彙の選定」早稲田大学日本語学会2008年度前期研究会(早稲田大学).

日本語教科書

  • 検校裕朗,奈良夕里枝,照山法元,윤호숙,김희박(2010).『ありがとう日本語 ― Free Talking STEP 1』韓国:Nihongo Factory.
  • 検校裕朗,奈良夕里枝,照山法元,윤호숙,김희박(2010).『ありがとう日本語 ― Free Talking STEP 2』韓国:Nihongo Factory.
  • 検校裕朗,奈良夕里枝,照山法元,윤호숙,김희박(2010).『ありがとう日本語 ― Free Talking Basic』韓国:Nihongo Factory.
  • 金玉任,柳京子,趙南星,金仁珠,趙柱喜,筒井昭博,照山法元,石井奈保美(2011).『おもしろい日本語 1』時事日本語社.

黒岩 幸子 (クロイワ サチコ)

2006年春入学 11期生

ふとしたきっかけで知った日本語教師という職業に強い興味を持ち,教師養成講座からスタートしました。現在までの教師経験のうち6年は海外の教壇に立つことができ,貴重な経験をさせていただいたと思っています。日本語母語話者である以上,私は日本語学習者の苦労というものを本当の意味では理解することはできませんが,異国で自分自身がマイノリティーとなった経験は,学習者を理解する助けとなっていると思います。

大学院では自分の研究テーマに取り組むほか,せっかくの学びの機会を大切に,興味のある分野を広く知るようにしていました。授業の中で感じる疑問をただおかしいと感じるだけではなく,なぜ疑問に感じるのか,なにが問題なのかを分析し,その後の実践につなげることができるようになったのが大学院で得た力だと感じています。

修了後は,早稲田大学日本語教育研究センター他,日本国内で日本語教育を行っていますが,いずれは海外での日本語教育に携わりたいと考えています。

研究テーマ

「文体」は学習者が身につけるのが難しいとされている。また,日本語教育で取り上げられることは少ない。修士課程では教育現場でよく用いられる「硬さ」という語を手がかりに,超級・上級の日本語能力を持つ非母語話者の文体意識の調査を行った。超級・上級の非母語話者の文章の「硬さ」に関する文体意識は母語話者に近づくことが明らかになったが,今後は中級の学習者への意識調査も行いたいと考えている。

研究業績

論文
  • 黒岩幸子(2008).『文体を意識した日本語教育のために ― 文章の「硬さ」の調査を中心として』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 黒岩幸子(2006).重要語の実習教案の分析『早稲田大学日本語教育実践研究』5,121-130.(http://hdl.handle.net/2065/5752
発表
  • 黒岩幸子(2009).日本語母語話者の「文型の文体」意識はどの程度一致するか ― 文型辞典・複合辞用例集における文体情報の調査から『日本語教育方法研究会誌』16(2),6-7.(要旨:『第33回日本語教育方法研究会プログラム』(p.2).(http://wwwsoc.nii.ac.jp/jlem/announcement.html
  • 黒岩幸子(2009年12月5日).「日本語学習者の文体意識に関する一考察 ― 文章の硬さの調査から」日本文体論学会第96回大会(関西外国語大学).
  • 黒岩幸子(2008).文体を意識した日本語教育のために ― 文章の「硬さ」の調査から『早稲田大学日本語教育学会2008年春季大会 講演会・研究発表会 資料集』(pp.14-17).