在籍生からのメッセージ

小林研究室在籍生のみなさんが,経験を踏まえて,当研究室での研究生活について紹介しています。進学・研究室選択の貴重な参考となるかと思います。

修士14期生より

入学する前は,日本語教師になるために,もっと「日本語」を学ぶべきだと思っていました。たとえば「日本語」の「は」と「が」の違いや機能,活用形はどのような機能を持っているのか,自分の母語とどのような点が違うのかなど,単なる「日本語」の知識を身につけるのが教師になるための勉強だと思っていました。そのため研究も「日本語ならではの日本語」を明らかにすることが自分の研究だと思い込んでいました。

しかし入学後,ただ「日本語」を研究するのではなく,自分はどの立場に立ているのか,そして自分の論文を誰に読んでほしいか,を明確することが大事だということが分かりました。何故ならば立場により研究の問題意識をはじめ,結論まで異なってくるし,自分の論文が読んでもらいたい人に読んでもらえなくなるからです。

明らかにしたいことは色々あると思います。その中で,日本語教育に貢献できるもの何なのかを考えるのは,自分の研究が日本語教育でよい研究になるために,研究を始める前に欠かせないことです。自分がどんな立場にいるのかはまず先行文献を読む目から変えると思います。

だがらこのページを読んでくださっている皆さんも,研究のテーマを決める前に,自分の研究が日本語教育に示唆するのは何か,どんな人に読まれたいか,を考えてみていただければと思います。(ギ)

修士14期生より

2007年9月に入学し,2年間の修士課程の修了を目前に控えた今,大学院での生活を振り返ってみると毎日が掛け替えのない日々だったように思います。

限られた時間内に,多くの『理論研究』および『実践研究』の科目を受講すると同時に,修論のための研究テーマを見つけ,データを収集し,分析や考察を繰り返して修論の執筆に至る一連の過程は,決して楽なものではありませんでした。

その中で一番苦労をしたのは,この研究室の方針でもあります,「自分のやりたいテーマ」を見つけること,それを自分のことばで人に伝えることの難しさでした。入学してしばらく経ってから,本当にやりたいテーマが入学当時提出したものではないことに気づいたものの,好きなテーマを見つけるまではとても不安でいっぱいでした。学部時代のように与えられたものだけこなしていればいいわけではなく,常に「自分は何を明らかにしたいのか」という疑問と向き合わなければならなりませんでした。「考える」習慣が身に付くまではかなりの苦労と時間を費やしましたが,そのおかげでやっと心からやりたいテーマを見つけてとことん打ち込むことができたと思います。

この研究室では「○○テーマにしてみたら?」などとは誰も勧めてくれませんが,「やりたい!」というテーマに取り組むと,先生をはじめ先輩,後輩のみんなが先に手を差し伸べてくれます。たとえば,学会発表を控えている者がいれば,夏休み中にも勉強会を開き,意見を交し合ったりします。ただ,ゼミ仲間に頼る前に,自分のテーマを明確にしておかないと何も始まらないのです。ですので,「自分で頑張るところ」と「力を借りるところ」を見極めて,研究を進めていくことが大事だと思います。

これから教育文法研究室の一員になりたいと思っている未来の後輩たちに,エールを送ります!(セ)

修士12期生より

同研究室の修士課程に入ってから,研究は一人ですると,はかどるものではないことに気付きました。研究を進める上で,自分の考えを言葉にし,他人に説明して話し合うことがとても大事な過程だと思っています。一緒に頑張る,励ましたり励まされたり仲間がいるときこそ研究が進むのではないかと思って博士課程に進むことにしました。

早稲田大学では教える現場に直接に携わる機会がたくさんあることは言うまでもないですが,さらに研究室の演習で研究者として成長できる機会が与えられています。学会発表の準備,論文投稿や予稿集のまとめ方,調査の組み方など,研究を行なうときに必要な知識や能力を学んでいます。演習の個人発表は自分の研究が進むために有効に自由に使える時間ですので,研究に刺激を与えて,研究者として成長していくチャンスをくれます。(ベ)

修士10期生より

「修論までに先行研究100本!」「建設的批判的に読む!」「くだらないことは気にしない!いい研究をしなさい!」・・・

先生の,厳しくも厳しい励ましのおことば(先生は明るくエネルギーと闘志に満ちあふれ,「疲れた」「忙しい」類の泣き言を聞いたことがありません)。私たちは,日々励まされ,ちょっとずつ前進している?…でしょうか,小林先生!?

演習は,毎週木曜日の午後です。今学期は,『プラグマティックスとは何か――語用論概説』(ジョージア,M.グリーン著,深田淳訳,1990 [amazon])の講読。内容理解のための事前課題(たまに英文!)がでます。そして,院生の個人発表。

  1. 研究計画の発表
  2. 先行研究の検討
  3. データの解釈

いずれかのテーマを選び交替で発表します。

勉強は大変ですが,学ぶべきこと,学ぶ価値のあることを学んでいるという実感があります。厳しく,楽しく,刺激的です。

後輩よ来たれ!