論文解題

言語教育政策

野山広(1995)「日本語教育と多文化主義:外国人児童・生徒への第二言語としての日本語教育の確立を目指して」『世界の日本語教育』第5号. pp.1-27.

本論文は,外国人子弟やその父母,教師が二言語併用主義・多文化主義に基づく言語政策を望んでいるか,また大宮市の外国人子弟の言語行動・父母の態度,日本語教師の態度を概観し,課題を検討している。橋渡し的な日本語教育から多文化主義的な言語教育への移行の視点を示したのは新しいが,多文化主義の定義がないまま教師に行ったアンケートは,その方法が適切かどうか,疑問が残る。(I)

池上摩希子(1998)「児童生徒に対する日本語教育の課題・再検討―研究ノート―」『中国帰国者定着促進センター紀要』6号 pp131-146

本論文は,年少者日本語教育の問題点と課題を整理し,中国帰国者2,3世の初等中等教育における日本語教育を概観し,日本語教育が担うべき役割と課題を再検討している。その再検討とは,学習言語の定義と検討の必要性,同化ではないバイリンガル教育の理念とシステムの構築,ライフコースを考慮に入れた支援,政府によるプレ・スクールの提案と,具体的な提案がなされている。(S)

野山広(2000)「地域社会における年少者への日本語教育の現状と課題」山本雅代編『日本のバイリンガル教育』 明石書店 第五章 pp.165-212

年少者に対する日本語教育の実態を地域別に調査し,第二言語教育やバイリンガル教育のあり方について述べている。筆者は調査の結果からみられる年少者への教育上のさまざまな問題点を踏まえ,具体的な「処方箋」を提示している。その中でも衛星通信の活用や学習者や教育関係者向けの遠隔教育等の具体例は問題解決の新たな糸口を与えてくれる。(P)