年少者日本語教育実践研究 vol.11 (2008)
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- はじめに
- 第一部 実践理論編
- 第二部 実践研究編
- 子どもの興味関心と学年相応のことばの力の統合を目指して(対象学年:小1) / 北見優
- JSL児童の産出を促す活動の試み(対象学年:小2,3,5) / 井口翔子
- JSL児童の「書く」力を伸ばす支援 ― 子ども一人一人の能力,関心,特徴にあわせて(対象学年:小3) / 大森優
- 在籍クラスと日本語クラスの連携(対象学年:小3) / 野口ひとみ
- 「書くこと」への挑戦 ― ことばの力の把握から支援内容の改善を図る (対象学年:中1,3) / 川上さくら
- 非定住型児童への媒介語を使用した日本語支援(対象学年:中1) / 諏訪直子
- 言語の対照に基づく日本語支援の試み(対象学年:中1) / 藤野安紀子
- 数学科の学習を通した日本語指導(対象学年:中3) / 宮川愛梨
- 「わにっ子クラブ」報告
- 第11回 わにっ子ワンデイキャンプ報告 / 井口翔子
- 第11回 わにっ子ワンデイキャンプ参加報告 / 千代島元善(日本サムスン株式会社)
はじめに
本報告書は早稲田大学大学院日本語教育研究科の実践研究科目『年少者日本語教育実践研究』(2008年度春学期)の実践レポート集である。
この報告書は,2003年度春学期に発刊した『年少者日本語教育実践研究 No.1』から続く11冊目の報告書である。この報告書の目的は,早稲田大学大学院日本語教育研究科で初めて開設された科目「年少者日本語教育実践研究」の実践研究の記録を残すとともに,「実践の理論化」を進めることにある。今回は,第一部「実践理論編」に3本のレポートを配した。自らの実践を踏まえた実践の理論化を深めようとしている。続く第二部の「実践研究編」には8本のレポートが掲載されている。この報告書に掲載されるレポート以外にも,日本語教育ボランティアとして指導を行いつつ,修士論文,博士論文研究を続けている院生も,今期中にいたことを記しておきたい。
早稲田大学大学院日本語教育実践研究は,実践と研究を一体化させるところに特徴がある。年少者日本語教育の場合も同様であるが,地域の学校と教育委員会と大学という3者を結ぶ実践研究教育モデル,「早稲田モデル」を継続していきたいと思っている。このモデルは,単なるボランティア派遣システムではない。日本語教育実践を通じて,参加者の実践力と研究力を深めると同時に,協働的実践研究共同体を形成し,教育者としての資質を向上させる教員養成システムとして機能している。
今回の『年少者日本語教育実践研究』には,東京都新宿区,東京都目黒区,千葉県のJSL児童生徒への実践が含まれている。このことは,このような子どもたちの課題が全国的な課題であることを改めて実感する。また,このように実践研究ができるのは,関係の教育委員会,区立小中学校の先生方,関係者のご協力とご理解があるからである。ここに改めて感謝を申し上げる。また,われわれの拙い実践研究につきあってくれる「日本語を母語としない子どもたち」にも感謝したいと思う。「わにっ子クラブ」の活動もあわせて,年少者日本語教育学の構築へ向けて今後も努力を重ねていきたいと思う。
これまでの実践研究にもとづく研究成果は『「移動する子どもたち」と日本語教育 ― 日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える』(川上郁雄編著,明石書店)にまとめ,2006年10月に刊行した。本実践レポート集と合わせてご覧いただき,忌憚のないご意見,ご教示を賜れば幸いである
。2008年9月
早稲田大学大学院日本語教育研究科
年少者日本語教育担当 川上郁雄