年少者日本語教育実践研究 vol.7 (2006)

表紙

はじめに

本報告書は早稲田大学大学院日本語教育研究科の実践研究科目「年少者日本語教育実践研究」(2006年度春学期)の実践レポート集である。

この報告書は、2003年度春学期に発刊した「年少者日本語教育実践研究 No.1」から続く7冊目の報告書である。この報告書の目的は、早稲田大学大学院日本語教育研究科で初めて開設された科目「年少者日本語教育実践研究」の実践研究の記録を残すとともに、「実践の理論化」を進めることにある。今回は、第一部「実践理論編」に5本のレポートを配した。それぞれ自分の実践を踏まえて実践の理論化を深めようとしている。続く第二部の「実践研究編」には5本のレポートが掲載されている。それぞれ自らの実践を振り返り、考察を加えている。この報告書に掲載されるレポート以外にも、日本語教育ボランティアとして指導を行いつつ、修士論文を書き上げた院生も、今期中にいたことを記しておきたい。

早稲田大学大学院日本語教育実践研究は、実践と研究を一体化させるところに特徴がある。年少者日本語教育の場合も同様であるが、地域の学校と教育委員会と大学という3者を結ぶ実践研究教育モデル、「早稲田モデル」を継続していきたいと思っている。

このようなことができるのは、新宿区教育委員会、区立小中学校の先生方、関係者のご協力とご理解があるからである。ここに改めて感謝を申し上げる。また、われわれの拙い実践研究につきあってくれる「日本語を母語としない子どもたち」にも感謝したいと思う。「わにっ子クラブ」の活動もあわせて、年少者日本語教育学の構築へ向けて今後も努力を重ねていきたいと思う。

なお、これまでの実践研究にもとづく研究成果を『「移動する子どもたち」と日本語教育―日本語を母語としない子どもへのことばの教育を考える―』(川上郁雄編著、明石書店)にまとめ、本年10月に刊行する。本実践レポート集と合わせてご覧いただき、忌憚のないご意見、ご教示を賜れば幸いである。

2006年9月
早稲田大学大学院日本語教育研究科
年少者日本語教育担当 川上郁雄

もくじ

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第一部 実践理論編
  • JSLの子どもが授業に参加するために必要な「ことばの力」とは ― 子ども個人の文脈への注目 / 尾関史
  • 総合型体験学習を通じて動き出す学びを ― 「早稲田モデル」におけるJSL児童の取り出し支援内容を考える / 河上加苗
  • 在籍学級におけるJSL児童の学びの可能性に対する一考察 / 引地麻里
  • JSL生徒ための学習者主体性を重視する日本語教育 ― 放課後支援教室の発話指導についての考察を通じて / 裔立苒
  • 状況を築く主体の育成をめざして ― 「個別化・文脈化・統合化」そして「社会化」の視点から / 大西博子
第二部 実践研究編
  • 他者との関係性を作る準備としての日本語指導 ― 適応指導+αで必要なこと(対象学年:小4) / 北見優
  • 初期指導段階から取り組む日本語での教科学習支援(対象学年:小6) / 中川智子
  • 来日間もないJSL生徒への日本語支援 ― 認知的発達と言語習得の関係性から支援のあり方を考える(対象学年:中1) / 小林美希
  • 日本語習得に母語環境が及ぼす影響 ― 来日間もないJSL生徒を一例に(対象学年:中2)/ 雷寶茵
  • 「読む」活動から「書く」活動へ(対象学年:中2) / 岩本真理子
「わにっ子クラブ」報告
  • 第7回 わにっ子ワンデイキャンプ報告 / 引地麻里