『年少者日本語教育実践研究』vol.5 (2005)

はじめに

本報告書は早稲田大学大学院日本語教育研究科の実践研究科目「年少者日本語教育実践研究」(2005年度春学期)の実践レポート集である。

この報告書は,2003年度春学期に発刊した「年少者日本語教育実践研究 No.1」から続く5冊目の報告書である。この報告書の目的は,早稲田大学大学院日本語教育研究科で初めて開設された科目「年少者日本語教育実践研究」の実践研究の記録を残すとともに,「実践の理論化」を進めることにある。今回は,第一部「実践理論編」に5本のレポートを配した。それぞれ自分の実践を踏まえて実践の理論化を深めようとしている。続く第二部の「実践研究編」には9本のレポートが掲載されている。この9本のうち,小学校の実践は,3本,中学校の実践は5本,そしてインターナショナル・スクールの実践が1本となっている。実践理論編も含め,どれもが学校現場や家庭でJSLの子どもを対象に日本語指導を実際に行いながら,考察を加えている。

早稲田の日本語教育実践研究は,実践と研究を一体化させるところに特徴がある。年少者日本語教育の場合も同様であるが,地域の学校と教育委員会と大学という3者を結ぶ実践研究教育モデル,「早稲田モデル」を継続していきたいと思っている。

このような実践研究が可能なのは,新宿区教育委員会,区立小中学校の先生方,関係者のご協力とご理解があるからである。ここに改めて感謝を申し上げる。また,われわれの拙い実践研究につきあってくれる「日本語を母語としない子どもたち」にも感謝したいと思う。表紙にあるような「わにっ子クラブ」の活動もあわせて,年少者日本語教育学の構築へ向けて今後も努力を重ねていきたいと思う。

本教育実践に関して関係各位の忌憚のないご意見,ご教示を賜れば幸いである。

2005年9月
早稲田大学大学院日本語教育研究科
年少者日本語教育担当
川上郁雄

もくじ

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第一部 実践理論編

  • 「表記力」の育成に向けた音の意識化 / 相馬森佳奈
  • 「定住型児童」の対話と協働学習を通じた「読む力」の育成 ― 「イメージ化」を取り入れたピア・リーディングの実践をもとに / 籔本容子
  • 日本語クラスと在籍学級の連携 / 青木優子
  • 中学生への日本語支援 ― 学習者のリテラシー実践と日本語を結ぶ活動 / 山田裕子
  • JSL生徒へのモデル文提示による作文指導 ― 『JSLバンドスケール』の「レベル5の壁」を越えるために / 荻野裕子

第二部 実践研究編

  • 多言語を背景とする児童への日本語指導 ― 教科学習へ繋ぐ(対象学年:小3) / 金澤日佐子
  • 「漢字カルタ」を使用した漢字指導 ― “書く”活動へ繋げるために(対象学年:小4) / 山田初
  • 「学習の文脈化」を考える ― 学校支援と家庭支援における考察から(対象学年:小6) / 古賀和恵
  • 日本語ができるとみなされるJSL児童をどのように指導するか ― 児童にとっての日本語支援の存在を考える(対象学年:中1) / 和久仁美
  • 「母語による学習支援」方法の模索(対象学年:中1) / 韓萬基
  • 来日後間もない中国人生徒への日本語支援 ― 日本語で話す能力を引き出すための最初の一歩(対象学年:中2) / 裔立苒
  • パソコンを使った日本語支援の試み ― 多様な活動を通して日本語能力を把握し,支援につなげる(対象学年:中2) / 渡辺千奈津
  • 「読む」と「書く」の連結指導(対象学年:中3) / 山﨑遼子
  • 日本国内でのJFL児童への日本語プログラムの意義と課題 ― プログラムの特徴とねらい(対象学年:小学全学年,1年~5年) / 小間井麗

「わにっ子クラブ」報告

  • 協働作業を通じて,「学ぶ力」を育てる ― 第5回ワンデイキャンプ活動報告 / 渡辺千奈津