前途遼遠@オレゴン
――遼子のアメリカ大学院留学だより

山﨑遼子(研究内容紹介

第7回 「教育とテクノロジーと知能と(2007年4月)」

人間の追究しがちな「便利さ」によって成長したテクノロジーという存在が,今や教育の分野でも大きく羽を広げている。言い換えれば,近年のアメリカでは,テクノロジーを使用することで,いかに効果的に子どもの学びを育成するかという点に大きな重きがおかれている。

筆者の作成したちらし 筆者の作成したちらし 筆者の作成したちらし 今,アメリカの学校において使用されているのはマイクロソフトオフィス,ワードやエクセル,パワーポイントだけではない。たとえば,パブリッシャー(Microsoft Publisher)の使用により,生徒が自分について紹介するチラシをつくることができる。筆者は,新しいクラスを教え始めた際,パブリッシャーを使用して,自身にまつわるちらしをつくった(写真上右)。日本語2の生徒とはクラス内でちらしの意味をたどり,日本語3の生徒には,チラシを翻訳する課題を課した。さらに,生徒たちは自分たちでもチラシを作りたいと言い出し,日本語を駆使した生徒自身にまつわるチラシができた(写真下)。

生徒の作成したちらし 生徒の作成したちらし

パブリッシャー使用の利点は,生徒がパソコンの日本語打ちができるようになることだけでなく,互いの共通した興味を発見したり,日本語の使用にまつわる疑問を生んだりと教室社会の文脈を豊かにしたことがあげられる。さらには,写真や色を自由自在に使いながらデザインできるため,H.ガードナーのいう多元的知能の一つ,空間的知能の育成に役立つ可能性がある。

また,ブログの使用により,生徒とのコミュニケーションを図り,より好ましい学びの環境を作ることができる。筆者も担当する日本語クラスにおいて,ブログを作成し,生徒からの要望や質問などを共有することで,日本語(と英語)を介した人間関係の構築に役立てている(興味のある方は→http://japanesefunfun.blogspot.com)。この手段によって,生徒の日本語を「読む」「書く」力だけでなく,人間関係的知能を育成できる可能性がある。テクノロジーは試行錯誤の仕方によっては,生徒の学びの主体性や知能を引き出す一助と成り得るだろう。

参照

  • ガードナー,H.(2003).『多元的知能の世界―M1理論の活用と可能性』日本文教出版株式会社.

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