籔本容子のロンドン教育現場やぶにらみ

籔本容子(研究内容紹介

第7回 「読む力」と「イメージ」

4ヶ月ぶりに実践報告をしています。その間,とても長く,暗いロンドンの冬を過ごしていました。今年はとくに寒く,どんよりした天気もほぼ毎日のように続いており,人々の気持ちをどっぷり暗くしていました。ところが3月末になり,街の雰囲気も一転しました。いよいよ春の到来です。家の近くの公園には,花が咲き始め,天気のよい日には,たくさんの人が公園に集まってきました。以前は凍った池の上を歩いていた鳥達も今では,スイスイと元気よく泳いでいます。こんなにも季節によって街の表情が変化するなんて,驚きです。私も天気のよい日は,積極的に外に出て,太陽の日を浴びるようにしています。

さて,今回も,前回に引き続き「読む力」と「イメージ」というテーマでご報告します。前回の報告にも書きましたが,筆者は,日本にいたころ,本研究室で「JSL(Japanese as a second language)の子ども達」の「読む力」と「イメージ」の関係について研究していました。そして,その研究をもとに,現在もロンドンでさらに実践を行いつつ検証しています。

今回の授業では,マンガ等を使って,日本語の特徴のひとつである擬音語,擬態語を紹介し,その場面や状況を適切にイメージすることができるよう課題を設定しました。マンガには,非常に多くのオノマトペが使われており,その言葉のイメージができなければ,内容を正確に把握することは難しいと言えます。しかし,それらの言葉は学習者にとって,なじみのないものが多く,濁点,半濁点が付くか付かないかによっても,全くイメージが異なってしまい,学習者にとっては,難しい表現の一つであると言えます。そのため,今回の授業では,課題解決のためのタスクを設けることにより,意識的にオノマトペに注目させ,イメージと言葉を一致させるものにしました。

具体的な授業の流れとしては,まず,彼らのマンガ経験を思い出させることにより,なぜオノマトペを知る必要があるのかを知り,その後,実際にマンガに出てくるオノマトペの表現を,イメージと結びつけながら学習しました。次に,マンガのカットを読みながら,そのイメージに合うオノマトペを当てはめていく課題を二人で協力しながら行うことにしました。

その際,次の点に気をつけて課題を設定しました。前回,彼らの図からイメージする能力が非常に高かったため,文字を読むことなく課題を解決することができたチームがあり,「読み」のストラテジーを身につけさせるという点で弱かったと言えます。そのため,今回は前回の反省を活かし,必ず文字に当たらなければ,課題が解決できない内容を設けました。その結果,どのグループもイメージと文字を一つ一つ一致させながら課題を解決していく姿があり,その点で有効であったと言えます。具体的には,「ヨロヨロ」の絵を探す際に,二人で他の絵と比較しながら,それがそこの場所に適切なのかどうかを,話し合いを通して解決している姿がありました。また,「That’s right」「Yes,yah,yah」「Good,good」などの相槌や,評価を示す語彙が頻繁に使われ,活発な話し合いがなされていたと言えます。さらには,「モクモク」と「もぐもぐ」を混ぜたことにより,濁点があるものとないものとで,全く意味が異なること,オノマトペは,ひらがな,カタカナのどちらにも使用されていることに自分達で気づくことができ,彼らの読みの幅が広がったことも効果のひとつであると思います。

実際には,まだまだ試行錯誤の段階ではありますが,一つ一つ授業で見つかった問題点を解決させつつ,今後も同様の活動を考えていきたいと思っています。

写真1:店の外観 では,最後に今回は,ロンドンの回転寿司についてご紹介します。ロンドンには,たくさんの日本食レストランがあります。そして,今,とても人気なのが日本のSUSHIです。

オフィッス街にもたくさんのおすし屋さんがあり,昼食をヘルシーに済ませようとSUSHIを食べる人がたくさんいます。お持ち帰りもできるのでとても便利です。そして,今回はその中でも特に回転寿司をご紹介します。至るところに回転寿司があるので,ロンドンにどのくらいの数の回転寿司があるのかはっきりわかりませんが,少し歩くと,こうした回転寿司のレストランを,すぐに見つけることができます。

写真2:店のカウンター私がときどき立ち寄る回転寿司のお店は,「YO!Sushi」と言います。駅の構内や空港,ショッピングセンター,レストラン街などの人が集まりそうな場所にあります。その中でも,FINCHLEY ROAD店は,私のお気に入りです。買い物をしながら食事もできるからです。ここのFINCHLEY ROAD店は,Jubilee LineのFinchley Road駅から,徒歩2分ほどの大型ショッピングセンター「O2センター」2階に位置します。O2センターには,24時間営業の大型のスーパーマーケットのSainsburyがあり,また,家具や雑貨,本屋,様々なレストランなどが入っている複合型ショッピングセンターです。そのため,平日の夕方は買い物客で賑わい,夜は仕事帰りの人々がレストランで食事をしたりしています。一方,土日の昼間や夜は,家族づれで,たくさんの買い物をしている人が多いです。「YO!Sushi」は,二階のレストラン街の中の一店で,オープンスペースになっており,気軽に立ち寄れる雰囲気を持っているお店です。メニューもとてもユニークで,サーモンやまぐろなどの定番の握りずしももちろんありますが,私がよく食べるのは,カツカレーとうどんです。他にも焼き鳥や枝豆なども人気で,たくさんのイギリス人が,上手に食べています。おすし屋さんにカツカレーなんてとお思いになるかもしれませんが,回転寿司のお店もロンドン子に受け入れられるように,独自の変化を遂げているのです。

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