籔本容子のロンドン教育現場やぶにらみ

籔本容子(研究内容紹介

第5回 ロンドンの中の“NIPPON”

9月に入り,イギリスの学校では,新学年が始まりました。私の今住んでいる家の後ろ隣にも小学校があり,昼間は,子ども達がバスケットボールや追いかけっこをして元気よく遊んでいる姿を見かけるようになりました。やはり,子ども達が学校へ戻ってくると,行きかえりの親子そろっての通学がほほえましく,地域に明るい雰囲気が戻って来ました。

さて,今回は,夏休み明け最初にRefugee Club(難民の子ども達の教育支援)で行った盆踊りの様子と9月19日(土)に行われたJAPAN MATSURI - LONDON JAPAN FESTIVAL 2009の様子を紹介します。

写真1:盆踊りの様子

まずは,Refugee Club(難民の子ども達の教育支援)で行われた盆踊りを紹介します(写真:盆踊りの様子)。

この日は,職員の方が実際に浴衣を着て子ども達の前に登場したり,子ども達一人ひとりのために布を切って,帯を用意して下さっていたことに大変驚きました。私たちも実際に浴衣を着て,まずは,日本でのお盆の意味や風習を説明したり,盆踊りをなぜ行うのかについて説明したりしました。そしてその後,実際に炭坑節や東京音頭をみんなで踊りました。この日は,地域の日本人のお母さん方も積極的に参加してくださり,お子さんと一緒に盆踊りを踊られていました。そこに参加していた子ども達は,自分から帯をしめ,踊りに参加する子どももいれば,とても照れてしまい,恥ずかしがってなかなか踊らない子ども達もいました。音楽のリズムも明らかに欧米のものや南米,アフリカのものと異なり,子ども達にとっても日本の盆踊りの曲を聴くのは初めての体験でしたので,その後の活動に大きな個人差がありました。しかし,今回の活動では,事前に現地の先生方が,インターネットや他の日本人から聞いた情報をもとに,帯を作ったり,浴衣を着たりして積極的に日本の風習に関わってくださったこと,また,イギリスの地で子育てをされている日本人のお母さん方がこの機会を通して,日本の盆踊りを思い出して懐かしんでくださったことなどを考えると,個々の関わり方や感じ方は異なっていたものの,それぞれにとってとても貴重な機会であったのではないかと思っています。

写真:JAPAN祭りの会場次に,JAPAN MATSURI - LONDON JAPAN FESTIVAL 2009について紹介します(写真:JAPAN祭りの会場)。

この祭りは,ロンドンの金融街の近くのSpitalfieldsで行われました。100店近くの日本食の屋台や文化紹介のブースがあり,日本の武道紹介のコーナーもありました。また,舞台では,三味線やロックソーラン,演歌,和太鼓等の出し物が行われ,ここでも盆踊りが披露されていました。さらに,「The J-Factor」と題して,のど自慢大会が開かれました。イギリス人やここで生まれた日本人,そして現在イギリスに滞在している日本人やその他の国の人が計18人参加し,それぞれが自分の得意とする日本の曲を歌って競い合いました。実際にNHKの方やプロの歌手の方々が審査をされ,誰もが納得のいく結果であったのではないかと思います。私はここに参加し,今回のロンドンでのイベントの大きさと,参加者の多さに大変驚かされました。

後日,イギリス人の友人とJapan祭りの話をしていると,「あんなにたくさんの日本人が,ロンドンに住んでいたなんて」と私と同じように驚いていました。さらに,私を驚かせたことは,こんなにたくさんのイギリス人や他の国の人たちが日本や日本の文化に関心を持ちJapan祭りに参加していたことです。これまで,一年以上なんとなくロンドン生活を送っていましたが,これだけたくさんの方が何らかの形で日本に関心を寄せてくださっていたことは,日本を愛する私にとっては何よりもうれしいことでした。

10月からは,本格的に学校で日本語の授業が始まります。次に出会う子ども達は,どんな子ども達か今から楽しみです。

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