活動の報告

第11回 わにっ子ワンデイキャンプ報告

はじめに

夏も間近い陽気のなか,2008年6月28日土曜日に,第11回夏のわにっ子ワンデイキャンプが開催されました。今回は,日本語を母語としない子ども,母語とする子どもを合わせて29人,ボランティアが28人参加し,元気いっぱいに活動しました。第11回のワンデイキャンプでは,企画段階でボランティアとの協働をめざし,また,活動のねらいには「劇づくりを通して,他者と伝え合う表現力を育む」ことを設定しました。以下,詳細をご報告いたします。

1.ボランティアとの協働

前回の第10回では,ボランティアに企画段階から参加してもらい,協働してワンデイキャンプを作り上げる新たな取組みがなされました。そこで,第11回でも,どのようにボランティアとの協働が実現できるかを考え,ワンデイキャンプに参加経験のあるボランティアに,アイスブレーキングの企画を担当してもらうことにしました。1カ月以上前から,週1回のミーティングに企画ボランティアが集まって,「わにっ子じゃんけん」,「おおかみがり」,「サイコロゲーム」の3つの楽しい活動を考えました。とくに,「わにっ子じゃんけん」と「おおかみがり」は,「劇づくり」の内容に関係するもので,当日のスムーズな流れを作るのに大活躍しました。

このように,企画ボランティアが中心となって担当する活動を設けたことで,院生だけでなく,ボランティアが積極的に関わって活動をつくりあげることができたと考えています。一方で,企画に参加しなかったボランティアからは,ワンデイキャンプ終了後に,企画内容についての指摘もあり,参加するボランティア全体との共通認識をどのようにつくっていくかを考えさせられました。

2.「劇づくりを通して,他者と伝え合う表現力を育む」

今回は,第7回,第9回の夏のワンデイキャンプに引き続き,「劇づくり」の活動を行いました。今回の活動のねらいは,みんなでひとつの劇を完成させる過程で「他者と伝え合う表現力を育む」ことです。このねらいを設定した背景には,積極的に発言する子どもがいる一方で,なかなかことばを使う機会をえられない子どもにも,その機会を与えたいという思いがありました。そこで,「役割分担」をキーワードに,それぞれの劇の配役から,話し合いを通して子どもたち一人ひとりが自分のセリフや,劇中の動きを決めるという活動を組み立てることにしました。また,劇の発表会の後にも,他のグループのよかったところを話し合い発表する時間を設けました。

3.活動の内容

ワンデイキャンプ当日の活動の流れは以下のようなものでした。

(1)全体活動:アイスブレーキング

企画ボランティアが中心となり,「わにっ子じゃんけん」と「おおかみがり」の2つの創作アイスブレーキングを行いました。両方とも,体を動かす活動で大いに盛り上がり,元気いっぱいの雰囲気を作り出しました。

(2)全体活動:絵本の読み聞かせ

体を動かした後は,一休みして院生が絵本の読み聞かせを行いました。絵本は,後の劇の内容に関連する『おおかみと七ひきのこやぎ』です。

(3)全体活動:活動の説明,および,院生によるモデル劇上演

今回の劇は,「おおおかみと七ひきのこやぎ」をアレンジした,「おおかみとわにっ子クラブ」です。どのように劇を行うのかを示すために,最初の場面を院生がモデルとして演じました。ここで,子どもたちは,「よい劇」とは何かを考えました。「大きな声」,「前を向く」という意見が出ました。

(4)グループ活動:配役決め,セリフ決め,練習

全体を,絵本の場面ごとに6つのグループに分け,各教室に移動しました。はじめに,「サイコロゲーム」で簡単な自己紹介をしました。その後,配役を決め(おおかみ,おかあさんわに,5人の子ども),自分たちで「おおかみとわにっ子クラブ」としてのアレンジしたセリフやストーリーを考えて,劇の練習をしました。また,練習中に1グループずつ本番の舞台を見学し,簡単なリハーサルや写真撮影を行いました。

(5)発表会:上演,表彰式

いよいよ,発表です。6つのグループが順番に上演し,ひとつの劇を作り上げます。子どもたちの保護者も観劇に来てくださいました。どのグループも,自分たちが考えたセリフや動きを一生懸命に表現していました。表彰式では,子どもたちの投票により,「一番よかった」グループを決め,「わにっ子賞」としてメダルの贈呈を行いました。しかし,全体で決めた「大きな声」や「前を向く」という基準とは関係なく,「おもしろい」グループが,子どもたちの印象に残ってしまったようです。

(6)終わりの会

4.活動を終えて

第11回の活動を終えて,ワンデイキャンプ終了後の反省会で,ボランティアのみなさんから多くの感想や意見をいただきました。劇の練習の動機づけのために設けた「わにっ子賞」が,結果的に子どもたち全員がそれぞれ頑張った発表に対して,優劣をつけることになってしまったことについては,疑問の声がありました。「劇づくり」の過程で見られた子どもたちの様々な工夫を,評価しきれなかったことは反省すべき点だったと考えています。

一方で,ボランティアと子どもの人数のバランスがよく,グループ活動では1対1の対話も多く生まれたという評価もありました。また,投票で「よい劇」を決める際には,初めに決めた評価基準には沿っていなかったという問題点もありましたが,子どもたちから様々な意見や感想が出ました。こういった面では,今回の活動のねらいであった「劇づくりを通して,他者と伝え合う表現力を育む」ことが実現できていたのではないかと考えています。

さいごに

第11回わにっ子夏のワンデイキャンプには,多くのボランティアが参加してくださいました。早稲田大学,および,他大学の学生,地域住民のみなさん,遠方から足を運んでくださった方。また,日本サムスン(株)からはボランティア事業として社員の方が参加してくださいました(> 参加報告)。わにっ子クラブの活動を通じて,このように様々なボランティアと子どもたち,そして私たち院生の関係が生まれることは,私たちの大きな喜びです。

今後も,わにっ子クラブを通じて,このような関係性づくりを継続的なものにしていきたいと考えています。(井口翔子)