5.第1回「鈴鹿市教育委員会・日本語教育支援システム・プロジェクト会議」ほか

2008年5月26日,鈴鹿市庁舎において,2008年度第1回「鈴鹿市教育委員会・日本語教育支援システム・プロジェクト会議」が開かれました。

この会議では,教育長をはじめ,教育委員会内の各課長,小学校校長(3名),日本語教育コーディネーター,早稲田大学教員が一同に会し,2008年度の市内の日本語教育支援の方針と今後の進め方について協議が行われました。はじめに,水井教育長よりご挨拶とともに教育委員会の方針が述べられました。続いて,早稲田大学より出席した川上郁雄教授より「鈴鹿市におけるJSL児童生徒への日本語教育支援システムをどう構築するか ― JSLバンドスケールを使った協働的実践」と題した講演があり,その後,参加者の間で意見交流が行われました。

このような教育長を議長とするJSL児童生徒の日本語教育支援システム・プロジェクト会議が行われることは全国でも初めての試みであり,画期的な行政支援システムとして注目されます。

つづいて,開かれた市内の学校の多文化共生教育担当者会議で川上教授による講演がありました。このように始まった2008年度の鈴鹿市における日本語教育指導と実践研究は,その後,さまざまに展開しています。日本語教育コーディネーターの中川智子さんによる小学校の校内研修,市内のすべての小学校,中学校に在籍するJSL児童生徒の日本語能力のJSLバンドスケール調査,さらに早稲田大学教授による講演会や同大学院生による教材開発支援など,多様な「支援」と「連携」が生まれています。

この一連の教育支援システムで重要な働きをしているのが,日本語教育コーディネーターの存在です。この日本語教育コーディネーターが他市で見られるコーディネーターと異なるのは,中川智子さんが年少者日本語教育の専門家である点です。中川さんは教員免許を持ち,小学校でのJSL児童への教育経験があり,かつ海外の学校に勤務したこともあります。さらに,早稲田大学大学院日本語教育研究科修士課程で年少者日本語教育を学び修士号を取得しています。したがって,鈴鹿市の各学校で使用されているJSLバンドスケールにも精通しています。このような年少者日本語教育の専門家が,教育委員会に採用され,学校と行政そして大学を結ぶ要になっているところが,鈴鹿プロジェクトの大きな特徴なのです。

このような意味で,鈴鹿市の試みは,今後の日本のJSL教育に大きな示唆を与えるもっとも先進的な「実験」とも言えるでしょう。

日本語教育コーディネーター中川智子

[右]日本語教育コーディネーター中川智子さん[研究紹介](牧田小学校)