2008年9月 日本語教育支援システム研修会 報告書

鈴鹿市立 桜島小学校

訪問日:2008年9月16日

1.概要

桜島小の全校児童数は760名程度で,うち外国籍児童73名とのこと。半数はブラジル籍の子どもたちである。ここ2,3年で外国籍児童数は倍増したそうである。特に編入の子ども達が多いという。

日本語指導が必要な児童数57名。訪れたどの小学校よりも多い人数が取り出し指導を受けていた。

桜島小の国際教室は「エスぺランサ」と呼ばれており,常勤の先生が3名,漢字や算数を見てくださる補助の先生が2名いらっしゃる。子どもたちの中には国語の時間をすべて取り出し指導を受けている子どももいるとのことだった。5,6人を一斉に取り出しで指導したいという希望はあるが,在籍の国語の授業が同じ時間に重ならないので,3,4人での一斉授業になると担当の先生はおっしゃっていた。

2.国際学級「エスぺランサ」見学

2-1.「エスぺランサ」教室

桜島小学校の大きな特徴は「エスぺランサ」(ポルトガル語のEsperança:「希望」の意)と名づけられたプレハブ教室が用意されていることであろう。本校舎とは渡り廊下でつながっており,大きさは教室ひとつ分よりは少し狭い程度であった。ホワイトボードを間仕切りとして,中を3つほどのブースに分けて利用していた。どのブースも黒板・机・椅子がそろっており,一つの小さな「教室」ということがよく分かるつくりになっていた。

教室の両側には棚や引き出しがたくさんあり,教材や子どもたち一人一人のボックスなどが並べられていた。

2-2.授業見学

小学校1年生の国語「けんかした山」の授業を見学させていただいた。内容に関する場面絵カードを並べ替えるという授業で,視覚的な補助を使って子どもたちの発話を促している様子がよく分かった。「並んで」や「せいくらべ」などの語彙を,実際に体を動かして体験しながら理解を進めていたことが印象的である。担任の先生方とは「おはようカード」というものを使ってエスぺランサでの授業内容を報告しており,エスぺランサで学んだ語彙を教室でも使用してもらうなどの連携が取れているそうだ。

3.感想

今年に入って担任の先生方と協力してバンドスケールでの日本語力の把握を行ったとのことだった。各学年団の先生方とエスぺランサの先生方で測定結果を突き合わせたところ,会話がより具体的になったとおっしゃっていた。中には,バンドスケールで測定したことによって支援が必要であることに気づいた子どももいたそうである。

「取り出し」指導という形態は在籍学級の学びと分断されやすいが,在籍学級の学び,たとえば,集団としての学び,発言するときの教室ルール,学習に対する姿勢などについても積極的にエスぺランサで指導されていた。このエスぺランサのありかたが,エスぺランサでの学びを在籍学級にもつなげていこうとする担任の先生方の姿勢を生み,学校全体で子どもたちを育てようという雰囲気作りに貢献しているのではないかと思った。

(報告者:川上さくら)