鈴鹿市立 玉垣小学校

2008年9月 日本語教育支援システム研修会 報告書

訪問日:第1回 2008年9月17日 & 第2回 2008年9月18日

1.学校の概要

「自分の夢を育み,自己実現する子どもの育成を目指した学校」を目指す学校像とする玉垣小学校は,明治15年に創設された歴史のある小学校である。

JSL児童の在籍状況は,全児童数800人余りのうち,外国につながる子どもが64人(全体の8%)で,そのうち外国籍の子どもは46人である。玉垣小のJSL児童の特徴として,日本生まれや,幼児期に来日した子どもが増えてきており,とくに低学年にJSL児童が多くなる傾向にある。玉垣小には,国際教室が設けられており,非常勤を含めて4名の講師の先生が日本語指導にあたっている。

また,玉垣小では,人権教育の実践として高学年になると,障害者,外国人,被差別部落のテーマについて学習し,6年生の修学旅行では京都の関連する場所を訪れる。

2.授業見学

2-1.在籍学級

1時間目は3年生の社会を,2時間目は4年生の国語を見学した。3年生のクラスはJSL児童が4名在籍しており,先生は,特に落ち着きのないJSL児童に対して個別に声をかけていた。4年生のクラスには1名のJSL児童が在籍しており,最前列に座っていた。単元は『ひとつの花』で,先生の全体に対する問いかけに対して,この児童が挙手して答えていたのが印象的であった。また,先生は児童に個別の声かけをするなど,配慮されていた。

2-2.国際教室

3時間目と4時間目は国際教室で日本語指導の授業を見学した。国際教室は,通常の学級の隣に位置し,一つの教室が日本語指導用にアレンジして使われている。教室の中心に教材や教具,個人ファイルを置く机があり,その周りを囲むようにして,3箇所に机と椅子が配置され,1時間に3つのグループが学習できるレイアウトになっている。

3時間目は,4年生2人が国語,6年生2人が動詞文を学習した。4年生の授業では,在籍学級の単元である『ひとつの花』に関連して,本文の語彙を使った作文,漢字の読み,リライト教材の音読,内容確認のワークシートという流れで学習しており,語彙についての先生と生徒のやり取りが大変活発であった。

4時間目は,3年生2人,5年生1人がそれぞれ在籍学級と関連してリライト教材を使った学習をした。3年生の『わすれられないおくりもの』の授業では,リライト教材の音読,漢字練習,本文に出てくる文型を使った作文が行われた。作文では,生徒は自分の身近なことや好きな動物に関連して,文章を書いている様子が見られた。

授業後,日本語指導の4人の先生と一緒に昼食をいただき,院生が作成したリライト教材をもとに話し合いを行った。

3.校内研修会

放課後,図書室で校内研修会が行われた。玉垣小の先生方全員と,鈴鹿市教育委員会の井上人権教育課長,早稲田大学大学院から川上教授,宮崎教授,院生6名が参加した。研修の内容は,事前のアンケートをもとに,(1)JSLバンドスケールのつけ方と活用方法,(2)国際教室と在籍学級との連携,(3)在籍学級での支援という3点が中心となった。

先生方からは,JSLバンドスケールの「協働主観」という考えに共感したという声や,定住型児童における内言語の発達についての課題,在籍学級での具体的な支援の方法についての質問があり,他にも鈴鹿市における夜間中学校設置の提言がなされるなど,活発な議論が交わされた。

4.感想

玉垣小では,在籍学級で先生がJSL児童に積極的に声をかけていたり,校内の掲示が各国語で書かれていたりと,JSL児童の支援に学校全体で取り組んでいる様子が見られた。鈴鹿市全体にも共通することだが,人権教育という視点からJSL児童の学習を保障しようという意識は,学ぶべきものだと考える

見学した授業の中では,4年生の生徒が,国際教室でリライト教材を使って勉強している内容に関して,在籍学級で発言していたことが大変印象的であった。リライト教材を通して,国際教室と在籍学級の学習が効果的につながっている例である。日本語指導と在籍学級の連携は,何気ない声かけや生徒の発言を拾おうとする少しの気配りから始まるのだと,改めて考えさせられた授業見学であった。

(報告者 井口翔子)