2020年7月25日
BATJ英国日本語教育学会オンライン・セミナー
『「移動する子ども」学と日本語教育』

参加者から届いたコメント

「移動する子ども」学をもっと学びたいと思いました

リース優子(Holbrook Primary School/Bath College)

今回の研修の一番の成果(というか印象に残っていること)は『分析概念』として「移動する子ども」を捉えていくという考え方です。

三つの移動【・空間の移動・言語間の移動・言語教育カテゴリー間の移動】その共通項としての【経験と記憶】を分析していくことで,当事者の視点が欠如してしまっている【天動説】としてではない,当事者自身の目線で考える【地動説的】アプローチの大切さ・重要性をひしひしと感じました。

また,川上先生のお話を聞くだけではなく,皆さんのお話を聞いたり,自分の発言でアウトプットすることで,実践の学びとして「移動する子ども」学と日本語教育に関しての理解が深まったように思います。「移動する子ども」学を『生きていくための研究』として考えなければいけないのではないか。他の学問と関係づけて考えたうえで,「議論することが」研究につながる。という先生のお話をきいて,この学問について「もっと学びたい」と思っている自分がいます。

それから,今回はセミナー前にいくつかの事例やそれらに関するみなさんのコメントを読ませていただいたことが出来たので,セミナー開催前から自分の中で色々なことを考えたり意識化できたように思います。

日本語を教えたり,近所にいるお子さんをもつ日本人お母さん方のお話を聞いたりする中で(特に継承日本語の場合),子どもたち自身がどのように日本語を学ぶこと・自分の日本語能力を「意識しているか」が学習継起・継続・意欲にもつながっているように思います。

ついつい周りが作ってしまいがちな様々な「枠」にとらわれないで,子どもたち自身が少しでも「主体的に考えること」が出来るように,子どもたちに寄り添って一緒にみつけていけたらよいなぁと思いました。

セミナーで「移動する子ども」との向き合い方を学びました

千葉早絵(エディンバラ大学/スコットランド補習校)

補習校講師及び保護者として色々な悩みを抱えていたため,その答えのヒントを見つけるべく,こちらのセミナーに参加させていただきました。

このセミナーを通して「移動する子ども」にとって大切なのは,彼らが自分たちの経験と記憶に向き合い主体的に自分のアイデンティティーについて考え続けられるよう支援することであり,彼らの語りに耳を傾け日々共に生きること自体が大切な教育実践であるということを学ばせていただきました。セミナーに参加する前は,講師としても保護者としても言語習得の成功ばかりを目指して,「移動する子どもたち」の人生そのものに寄り添ってあげられていなかった気がします。

これからは,補習校の児童生徒や年頃の娘とやんちゃな息子の心の思いを少しでもよく理解してあげられるよう,「宿題,宿題!」と言うよりも,不安,ストレス,感情など胸の内を語りやすい場を作ってあげたいと思います。本当にありがとうございました。

開催概要

  • 日時: 2020年7月25日(土)午前10:00~12:00(イギリス時間)
  • 講師: 川上郁雄
  • セミナー形態: 完全オンライン(Zoom使用)
  • 申し込み方法: BATJウェブサイトから
  • 参加費: BATJ会員5ポンド・非会員10ポンド
  • 参加登録・お支払い(PayPal/銀行振込): BATJのWEBサイトから(定員40名:事前登録制。定員になり次第,締め切らせていただきます。)

本セミナーの前半は,川上郁雄先生が「移動する子ども」学について講義をします。「移動とことば」を視点に,複数言語環境で成長した経験が子ども,大学生,親,老人までどのように影響するかを見通しながら,私たちにとって「ことばの学び」,「ことばの教育」とは何かを一緒に考えます。後半は,事前に講師から提供された課題をグループに分かれてディスカッションを行い,最後に,全体で意見交換を行います。

年少者日本語教育だけでなく,様々な場面の日本語教育に対応する内容となっております。お誘いあわせの上,是非ご参加くださいませ。

※まだ参加申し込みは開始しておりませんが,準備ができ次第ご連絡いたします。(以上,BATJからのお知らせより転載)

プログラム

  • 10:00~ BATJ会長挨拶
  • 10:10~ 川上の講義:「移動する子ども」学について[要旨:PDF
  • 10:40~ 課題ディスカッション(グループ別)
  • 11:15~ 休憩
  • 11:20~ 参加者全員による意見交換

くわしくは,BATJウェブサイトをご覧ください。