22期生(2011年度9月入学)

稲垣みどり

研究・関心分野

日本国外における複数言語・複数文化の中で育つ子ども達への日本語教育が主な関心分野です。もはや従来の「補習校」の枠組みでは括り切れない,さまざまな背景を持つ子ども達にとって,日本語の学びとはどのような意義を持つのか。子どもを取りまく親や現地の社会の文脈の中で考えていきたいと思います。

自己紹介

明治大学文学部文学科演劇学専攻卒業後,東京都内の私立女子中高で国語教師として勤務,その後,早稲田大学大学院教育学研究科国語教育専攻に進学し,戦後日本文学の分野で修士号を取得しました。1998年,駿台アイルランド国際学校(全日制日本人学校)の国語教師としてアイルランドへ。2000年より,アイルランド教育科学庁主導で始まったアイルランド中等教育機関への日本語導入プロジェクトに雇用され,複数のセカンダリースクールにて15才~18才のJFLの子ども達に日本語を教えてきました。同時にダブリンシティ大学でも非常勤講師として日本語を教えました。2011年にダブリンに開校された主に国際結婚家庭の親による新しい「補習校」の設立に関与し,教師として実践もしてきました。私自身,国際結婚家庭の親として,複数言語・複数文化の中で生きる2人の子どもの育児の真っ最中です。

研究業績

競争的資金等の研究課題
  • 稲垣みどり(2017年4月~2019年3月).『海外在留邦人の「複言語育児」――アイルランドの在留邦人へのインタビュー調査から』科研費基盤研究(C)(17K02870).
  • 稲垣みどり(2016年4月~2017年3月).『海外在留邦人の「複言語育児」――アイルランドの在留邦人へのインタビュー調査から』早稲田大学特定課題研究助成費特定課題B.
論文
  • 稲垣みどり(2016).「移動する女性」の「複言語育児」――在アイルランドの在留邦人の母親達のライフストーリーより『リテラシーズ』18,1-17.http://literacies.9640.jp/vol18.html#r1
  • 稲垣みどり(2015).「継承日本語教育」における「パターナリズム」――在アイルランドの在留邦人の親に対するインタビュー事例から『早稲田日本語教育学』19,21-40.
  • 稲垣みどり(2015).「社会参加を目指す在留邦人の母親たちの複言語育児――在アイルランドの在留邦人たちのライフストーリーから」(pp. 247-256)The 22th Princeton Japanese Pedagogy Forum PROCEEDINGS. http://www.princeton.edu/pjpf/past/22nd
  • 稲垣みどり(2014).在アイルランドの日本にルーツを持つ子ども達の日本語学習――欧州およびアイルランドの言語教育政策との相関に注目して.EUJI Waseda Working Paper, 2
  • 稲垣みどり(2012).「にほんご わせだの森」における「生活者としての外国人像」――「森の相談コーナー」の開設をめぐって『地域日本語教育実践研究――実践報告(1)報告集』7.https://gsjal.jp/ikegami/report07.html
  • 稲垣みどり(2012).「JSL生徒の「書く力」を伸ばす実践―作文指導における指導者の変容を通して」『年少者日本語教育実践研究』18../youngjis18.html
  • 稲垣みどり(1998).『椎名麟三の小説と戯曲の手法をめぐる問題――二つの『自由の彼方で』を中心に』早稲田大学教育学研究科国語教育専攻修士論文(未公刊).
発表
  • 稲垣みどり(2017年9月1日).「アイルランド中等教育における日本語の導入(Post-Primary Languages Initiative, PPLI)が現地の『継承日本語』話者の子ども達の日本語学習に及ぼす影響」15th EAJS International Conference 2017(ポルトガル:リスボン新大学).
  • 稲垣みどり(2017年3月20日).「海外在住の親はわが子の日本語の習熟レベルをどのように想定しているか――アイルランド在住の『補習校』をめぐる親の語りから」第7回年少者日本語教育研究フォーラム(早稲田大学).
  • 木下直子,舘岡洋子,太田裕子,山田英貴,陳永盛,稲垣みどり,武田誠,古屋憲章(2016年9月18日).「多文化共生キャンパスにおける学生支援を考える――箇所間連携の可能性とオートノミー・問題発見解決能力の育成」(企画パネル)早稲田日本語教育学会(早稲田大学).
  • 稲垣みどり(2016年9月).「『継承日本語教育』から『複言語育児』へ――在アイルランドの親のライフストーリーから」日本語教育国際研究大会(インドネシア:Bali Nusa Dua Convention Center)
  • 稲垣みどり(2016年7月).「『商品化』する日本国内のインターナショナルスクール――子どもの『言語能力の階層化』を生む経済格差についての一考察」言語文化教育研究学会第3回研究集会(香港大学).
  • 稲垣みどり(2016年1月).「『移動』する,あるいは『移動』したい親達の『複言語育児』――国内のインターナショナルスクールの事例から」「移動とことば」第1回研究会(早稲田大学).
  • 稲垣みどり(2015年9月).「『移動する女性』の『複言語育児』――在アイルランドの在留邦人の母親のライフストーリーから」早稲田日本語教育学会2015秋季大会(早稲田大学).
  • 稲垣みどり(2015年5月).「社会参加を目指す在留邦人の母親達の複言語育児――在アイルランドの在留邦人たちのライフストーリーから」第22回プリンストン日本語教育フォーラム(米国:プリンストン大学).
  • 稲垣みどり(2015年2月).「海外に定住する『移動する女性』の日本語育児――アイルランドにおける日本人母親へのインタビュー事例から」日本語教育学会第10回研究集会関西地区(龍谷大学).
  • 稲垣みどり(2014年8月).「アイルランドの中等教育のJFL日本語コースにおけるJHLの生徒たち――その『仲介者」としての役割に注目して」ヨーロッパ日本語教師会第19回シンポジウム(スロベニア:リュブリャナ大学).
  • 稲垣みどり(2014年7月).「『継承日本語教育」におけるパターナリズムの問題点――国外で日系国際児を育てる日本人親に対するインタビュー事例より」2014シドニー日本語教育国際研究大会(オーストラリア:シドニー工科大学).
  • 稲垣みどり(2013年5月).「日本国外の日本にルーツを持つ子どもは日本語の学びをどのように位置付けているか――在アイルランドの日本にルーツを持つ青少年へのインタビュー調査から」日本語教育学会2013年度春季大会(立教大学).
  • 稲垣みどり(2013年3月30日).「在アイルランドの日本にルーツを持つ子ども達の日本語の学び――アイルランドの言語教育政策との相関に注目して」早稲田大学日本語教育学会2013春季大会(早稲田大学).
  • 稲垣みどり(2012年3月3日).「『新しい学校』設立への道のり――アイルランドの補習校をめぐる事例から」国際研究集会『「移動する子どもたち」のことばとアイデンティティ』(早稲田大学).
その他の講演,ワークショップ等
  • 2013年6月 「新しい補習校の設立――アイルランドの事例から」実践カンファレンス Power of Diversity(立教大学)
  • 2012年11月 都内在住国際結婚家庭の親のためのバイリンガル教育についての講演(英語)目黒区『Wの会」主催(目黒区民センター)

教職歴

2017年4月~現在
東京理科大学理学部第一部 非常勤講師
2015年9月~現在
早稲田大学国際教養学部・国際コミュニケーション研究科 助手(英語教育)
2013年8月~2014年7月
玉川国際学院 非常勤講師
2011年4月~7月
アイルランド日本語補習校 講師
2007年10月~2011年6月
ダブリンシティ大学応用言語学部 日本語非常勤講師
2000年9月~2011年8月
アイルランド教育科学庁ポストプライマリーランゲージイニシアティブ 日本語開発員(高校での日本語授業担当および教材開発補助)
1998年4月~2000年3月
駿台アイルランド国際学校国語科 専任教諭
1993年4月~1995年3月
北豊島中学高等学校国語科 専任教諭

内畑愛美

研究・関心

日本国外の複言語・複文化環境に育つ日本にルーツのある子どもたち,そして,その親にとって日本語はどのような意味を持ち,また,どのように子どもの成長,人格形成に関わってくるのか,ということに興味を持っています。

自分自身,日本語教育の専門性を持った実践者として,こういった状況にある親と子にどのような力になれるのかについて,考えていきたいと考えています。

自己紹介

創価大学文学部人間学科日本語日本文学専修卒業。母語・継承語・バイリンガル教育研究会所属。

高校2年生の時に,タイの補習校で,日本にルーツを持つ子どもたちへボランティアで日本語を教えた経験から,日本語教育に関心を持ち,日本語教師を目指しました。大学在学中には,地域の日本語教育ボランティアとして,小学校1年生から中学校3年生までの日本語を母語としない子どもたちの日本語支援,学習支援に携わりました。また,大学4年次には,タイ国立タマサート大学東アジア研究所に研究,調査のために短期滞在し,一週間だけですが,タイの高校でティーチングアシスタントとして,日本語を教える経験もしました。

将来はタイで日本語教師として働き,複言語・複文化環境に育つ日本にルーツのある子どもたちの日本語教育に携わっていきたいと考えています。

業績

論文
  • 内畑愛美(2014).『「移動する家族」とことば,そして,家族のかたち――タイ在住の2つの家族の語りから』早稲田大学日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 内畑愛美(2012).ちびっ子わせだの森の実践報告――ちびっ子わせだの森の捉え方の変容『地域日本語教育実践研究――実践研究(1)報告集』7.
  • 内畑愛美(2012).JSL児童にとっての意味のある活動とは何か――実践者の考える活動の意味と児童の考える活動の意味の違いから『年少者日本語教育実践研究』17.
発表
  • 内畑愛美(2013年3月30日).「『移動する家族』はことばとどのように向き合っているのか――タイ在住のある家族の事例から」早稲田大学日本語教育学会2013年春季大会(早稲田大学).
  • 中山英治,秋田美帆,内田陽子,牛窪隆太,木村祐子,福池秋水,安田励子,内畑愛美,中津飛鳥,武井啓子(2012年3月17日).「日本語読解教材の使用実態調査――タイで求められる読解教材とは」タイ国日本語教育研究会第24回年次セミナー(バンコク).
  • 内畑愛美(2012年3月4日).「日タイ国際結婚家庭における継承日本語教育――補習校での調査を通して」国際研究集会『「移動する子どもたち」のことばとアイデンティティ』(早稲田大学).