修士課程11期生(2006年度4月入学)

北見優(きたみ ゆう)

修了にあたって

2006年4月に入学してから3年間をかけて修士課程を修了することになりました。入学前は教授歴がないことがコンプレックスでしたが,入学後は多くの「実践」に関わることができました。小学生や留学生・また海外の年少者を対象にした様々な日本語教育実践の計画・実施に実際に携わることは,自分の言語教育観や価値観を形作る礎となりました。

修了後は,一般企業に就職することに決めました。日本語教育の世界とは一旦お別れしますが,修士課程の間に学んだ子どもとの接し方,磨いた自分の価値観などは,今後に生きていくものと考えています。

これからも子どもの笑顔のために自分が出来ることを探し続けて行きます。

興味関心

「子どもの持つ『その子どもらしさ』と,日本語教師が考える『その子どもに必要だと考えられることばの力』をどのように統合し,実践にするか」ということを,自らのテーマとして取り組んできました。修士論文では1対1の取り出し支援での取り組みを元に,このテーマについて考えました。

現在は,日本語教育専門家と学校教育関係者が,どのようにJSL児童の「ことばの学び」の環境を作っていくべきかということに関心があります。さまざまな言語環境を背景に生きている子どもたちは年々増加しています。自分の今日までの取り組みや,発信してきた意見が,今後の「ことばの学び」の環境を作る際の議論の種になったらよいと願っています。

自己紹介

玉川大学文学部人間学科卒。学部在籍中に参加したオーストラリア語学研修において,現地の子ども達が外国語として日本語を学んでいるということ,そして日本語教師という職業を知ったのが,日本語教育に興味を持ったきっかけです。以後,副専攻で日本語教育を勉強し始め,また地域の子ども日本語教室でボランティアをしてきました。

将来は外国で日本語教師をしてみたいとずっと考えてきたので,1期目を終えた2006年10月から8ヶ月間,ブリティッシュカウンシル主催の「日本語指導助手派遣プログラム」に参加しました。英国の中等教育機関にランゲージ・アシスタントとして勤め,授業内での復習ゲームの提案や模擬テストの作成,ジャパンクラブの運営といった業務に携わりました。

業績

論文
実践報告
  • 北見優(2006).「きまぐレター from London!!」@Hendon school(http://blogs.yahoo.co.jp/u_aurora_planet).

小林美希(こばやし みき)

学位論文

  • 小林美希(2008).『JSL生徒に対する「内容」と「ことば」を統合した日本語読解支援 ― スキャフォールディングと子どもの主体性の視点から』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).[概要

論文

  • 小林美希(2008).JSL生徒に対する「内容」と「ことば」を統合した日本語読解支援の可能性『早稲田日本語教育学』3,39-52.
  • 小林美希(2009).子どもの主体性を重視する年少者日本語教育に向けて ― JSL生徒に対する日本語読解支援の分析から 川上郁雄(編)『「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー ― 主体性の年少者日本語教育学』(pp.61-83)明石書店.
  • 小林美希(2007).「教師成長型」教師養成の意義と可能性『早稲田大学日本語教育実践研究』6,81-90.[DOWNLOAD: PDF
  • 小林美希(2007).JSL生徒の「主体的な学び」をどのように捉えるか ― 日本語読解支援における垂直的相互作用への注目『早稲田大学日本語教育実践研究』6,37-46.[DOWNLOAD: PDF
  • 小林美希(2007).JSL生徒の「ことばの力」の育成を目指した日本語読解支援 ― 「内容」と「ことば」の統合の視点から『年少者日本語教育実践研究』9,1-19.[DOWNLOAD: PDF
  • 小林美希(2007).JSL生徒にとっての「読み」の意義―日本語能力調査における読解過程研究から『M1論文』早稲田大学大学院日本語教育研究科年少者日本語教育研究室.

修了にあたって

2007年12月に修士論文を提出し,2年間の修士課程を修了しました。在学中は,子どもの「ことばの教育」をどのように捉え,どのように実践していくのかという点について,日々ゼミの仲間とディスカッションし,そこで得た視点を自身の実践にどう活かしていくかという点について考え続けてきました。この2年間の大学院での生活は決して楽なものではありませんでしたが,自分の時間のほとんどを費やし,同じ志を持つ仲間と共に意見を交わし合い,川上先生のもとで学ぶことができたというのは,とても貴重で贅沢な時間だったと思っています。

修了後は,日本語学校での勤務を継続するとともに,早稲田大学日本語教育研究センターで契約講師として留学生の日本語授業を担当することになりました。これまでは,子どもを対象にした日本語教育を中心に行ってきましたが,今後は成人を対象とした日本語教育を中心に行っていくことになります。しかし,両者はアプローチの違いはあるにしても,2年間研究室で常に考えてきた「学習者のどのような『ことばの力』をどのように育成していくのか」ということばの教育を行っていく上で考えるべき根本の部分は変わらないと思います。2年間を通して日本語教育研究科で学び,培ってきたことを糧にし,今後も日々努力していきたいと思います。

自己紹介

東京女子大学現代文化学部言語文化学科卒。学部卒業後は食品メーカーに就職し,約2年間秘書,営業事務を行い,その後転職をし,成田国際空港で地上職として約3年間働いてきました。

JSL児童に教科学習支援をしたことから年少者日本語教育が抱える様々な問題に直面し,この分野に強く関心を持ち,進学を志しました。子どもたちの言語発達,人格形成の重要な時期に自らが関わっている,という意識を常に持ちながら,日々努力していきたいと思います。

中川智子(なかがわ ともこ)

修了後の進路

修士課程を修了し,2008年4月から2年間,三重県鈴鹿市で『日本語教育コーディネーター』として勤務。小学校の日本語指導教室で子どもの日本語教育に携わりながら,鈴鹿市の日本語教育支援システムの構築に取り組んできました。

2010年の4月からは三重県鈴鹿市で公立小学校教諭として子どもたちの教育に関わっています。教育を通して地域に暮らす様々な国の方に出会い,刺激的な毎日を過ごしています。今後も日本語教育支援システムの構築に関わりながら,学力保障を目指した日本語教育のあり方を学校の先生や親,地域,教育委員会と共に探っていきたいと思っています。[参考:鈴鹿市JSLバンドスケール・プロジェクト

研究・関心

学校教育の中での日本語教育のあり方に興味があります。様々な環境で育つ児童・生徒に関わる中で,ことばの教育の難しさを感じてきました。社会で生きていく子どもたちの「力」をどのように育てていくか,先生や子どもとつながる取り組みをしたいと思っています。

自己紹介

三重県伊勢市出身です。静岡大学で小学校の先生になる勉強をしながら日本語教育を副専攻で学びました。静岡大学の大学院時代に地域の外国籍児童の教育に関わる機会があり,それが年少者の日本語教育に興味を持ったきっかけでした。その後,タイの日本人学校で司書教諭として4年間働きました。海外で様々な生活環境・言語環境で育つ子どもたちの教育に関わり,より一層年少者の日本語教育に取り組みたいと考えるようになりました。世界中の子どもたちのキラキラした笑顔が見られるような取り組みに関わることができたらいいなと思っています。

業績

論文
  • 川上郁雄・中川智子・河上加苗(2009).教育委員会と大学の協働的実践ネットワークの構築 ― 年少者『日本語教育コーディネーター』の役割を視点に『早稲田日本語教育学』4,1-14.
  • 中川智子(2008).『タイの補習授業校における継承日本語教育の可能性 ― 絵本を活用した支援を通してことばを育む』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).
  • 尾関史・中川智子(2007).絵本を活用して「ことばの力」を育む ― 地域日本語教室「わせだの森」における実践を通して『早稲田大学日本語教育実践研究』6,3-12.[DOWNLOAD: PDF
実践報告