国際教養学部のクラスから

間橋理加 (研究内容紹介

第2回 国際教養学部での一年を振り返って

昨年9月に大学院修士課程を修了し,国際教養学部の契約講師を秋(2004年9月~2005年2月)・春(2005年4月~6月)の2期勤め,早いもので今期で3期目となります。今回は,この一年間の国際教養学部での授業を振り返って,日本語教師に必要だと思ったことを書きたいと思います。

6月の学期終了までクラスを担当したいという気持ちがある反面,出来ればもっと問題の少ないクラスを担当したいという気持ちを合わせ持って,結果的に私だけが秋学期のクラスを引き継ぐことになりました。このクラスは入学当初にはひらがなやカタカナも書けない学生と,ブロークンながらもかなり流暢に話ができる学生など,多様なレベルの学生の混ざったクラスでした。さらに新プログラムで春から参加した学生も加わり,波乱万丈のスタートとなりました。

では,このようなマルチレベルのクラスでの授業はどのように行なえば良いのでしょうか。大学院在学中の私の研究テーマは,前回のエッセイーにも書いたように「クラス担任と日本語指導者との連携」でした。この研究ではクラス担任と日本語指導者が互いに情報を交換し合うことが,学習者に良い結果をもたらすことが分かりました。この研究結果に基き,クラス担任が複数存在する場合にも「連携」は有効であるという考えのもと,秋・春ともに私たち3人は互いに緊密に連携を取り合いました。私たちが行なった「連携」というのは以下のようなことです。日本語教師の世界ではめずらしいことですが,授業終了後の報告書には項目の羅列ではなく,導入から談話練習にいたるまで実際に授業で行なったことや学生の発話と反応を詳細に記述したことです。今回のようなマルチレベルのクラスでは異なる授業の進め方とその結果について情報交換をすることで,学生の得て不得手,好みなどを知ることが出来,その結果,学習者も満足して初めてクラス運営に繋げることが出来ると言えます。つまり日本語教師がすべきことは,万人向けの教え方ではなく,学生やクラスに応じた指導なのです。

春学期はゴールデンウイークがあり,6月には帰国を控えているので学生にとってはしっかり腰を落ち着けて勉強に励むことがなかなかむつかしい学期です。その上,半年の日本生活にもすっかり慣れさまざまな遊びにも精通し,ついつい遊び癖がついて出席がおろそかになった学生も一部,出てしまいました。ではこのような状況で教師はどのように対処すればいいのでしょうか。

先に述べた教師の連携に加えて教師と学生の信頼関係の構築によって,このような状況に陥っている生徒をある程度助けることができます。すでに半年あまり一緒に学習して来た多くの学生は,この頃には教師とある程度良好な関係を築いているので,実際スランプに陥った学生が数名いたけれど励ましながら最後まで頑張らせることが出来ました。無事全員の成績を提出した頃には,やっと肩の荷がおりました。

そして,来週からまた新学期が始まります。この一年の経験を肥やしに,謙虚さを忘れずに「誰のための何のための日本語教育」を常に念頭に置いて,頑張ろうと思います。どんなクラスになるのか,今からとても楽しみです。

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