講演・発表の記録

2019年12月26日:第30回 早稲田こども日本語研究会

  • チラシ: 日時: 2019年12月26日(木)16:30~18:00
  • 場所: 早稲田大学 早稲田キャンパス19号館 6階610教室[アクセス
  • 主催: 川上郁雄研究室および早稲田こども日本語クラブ
  • 事前登録制(参加費は無料):
    参加希望の方は,前日までに kodomo-nihongo@list.waseda.jp へメールでご連絡ください。
  • チラシをダウンロード[PDF]
  • 参考: 過去の公開研究会の記録

岩城けい氏との対談『「Masato」は,今,何を思うか――「移動する子ども」をめぐる創作活動と研究』

オーストラリアへ移動した小学生を主人公にした小説『Masato』の著者と川上が「移動する子ども」をめぐり,対談します。

岩城けい氏:
作家。『さようなら,オレンジ』(2013)で,太宰治賞,大江健三郎賞受賞,『Masato』(2015)で,坪田讓治文学賞受賞,他。

参加希望者は『Masato』を読んだ上で,事前登録をしてご参加ください。また,川上による書評が『ジャーナル「移動する子どもたち」』に掲載されています。

  • 岩城けい(2017).『Masato』集英社文庫.
  • 川上郁雄(2018).モバイル・ライブズを生きる「移動する家族」の物語――岩城けい(2017)『Masato』集英社文庫『ジャーナル「移動する子どもたち」――ことばの教育を創発する』9,40-46.https://gsjal.jp/childforum/journal_09.html

2019年12月15日:比較日本文化研究会 2019年度大会(京都)
『人文社会科学の四半世紀を振り返る―流動的な現代社会にどう対応するのか』
川上郁雄「〈移動する子ども〉というフィールド」ほか

  • 日時: 2019年12月15日(日)13:00~17:00
  • 場所: 京都先端科学大学太秦キャンパス東館E302教室[アクセス
  • チラシをダウンロード[PDF]
  • プログラム
    研究発表(司会:橘弘文)
    佐々木高弘(京都先端科学大):妖怪文化を地理学的に考える
    永原順子(大阪大):怪異伝承と水難事故との関わり―日本およびASEAN 諸国での調査をもとに
    安井眞奈美(日文研):出産・身体に関する研究を振り返る
    川上郁雄(早稲田大):「移動する子ども」というフィールド
    全体討論(司会:浮葉正親)

比較日本文化研究会の会誌『比較日本文化研究』は,次号の20号をもって休刊することになりました。会誌では,最後を飾るために,運営委員が中心となって,人文社会科学の四半世紀を振り返り,自らの研究を位置づけながら,将来の展望を示す特集となっております。そこで2019年度の研究大会でも会誌と同じテーマとし,各分野の4名の研究者の発表と,参加者との討論会を開催したいと考えています。

人文社会科学の危機が叫ばれる中,多くの研究者にご参加いただきたくご案内申し上げます。

2019年9月3日:カーディフ日本語教育セミナー「移動する子どもたちとことばの教育」@ウェールズ】講師:川上郁雄

グローバリゼーションが進む昨今,幼少期より外国で成長する子どもたち,また日本と外国を行き来して育つ「移動する子ども」が増えている。本発表では,このように外国で成長した子どもたちの例を取り上げ,彼らの日本語と他言語の学習の意味付け,日本語を含む複数言語能力についての意識,それらの意識に影響を与えた要因といった観点から,「移動とことば」の関係がアイデンティティの再構築や生き方に影響を与えていく過程を紹介する。そして,子どもたちの日本語能力を含む複言語複文化能力の育成について提案を行う。

2019年6月29日:NPO法人アイカス地域日本語教育公開講座:「移動する子ども」――ことばの学びをどう支え,どう共に生きるのか(講師:川上郁雄)

講師より

外国から来た子ども,あるいは国際結婚した両親のもと日本で生まれた子ども,そして日本国籍のある「帰国生」など,多様な子どもたちが,今,学校現場に増えています。これらの子どもに共通するのは,複数の言語の中で成長している,あるいは成長して来たという点です。大切なことは,子ども自身が複数言語と向き合う自己の確立ができるように支えることです。

2018年12月1日『移動とことば』公開「合評会」

『移動とことば』(川上郁雄・三宅和子・岩﨑典子編著,2018,くろしお出版)

「移動とことば」という課題を問う本書を,比較教育学,社会学,日本研究の視点から論評する「合評会」を,以下の通り開催します。

  • チラシ日時: 2018年12月1日(土)14:00〜17:00
  • 場所: 早稲田大学(早稲田キャンパス)19号館610教室[アクセス
  • 参加費: 無料※直接会場までお越し下さい(使用言語:日本語)
  • チラシをダウンロード[PDF]

パネリスト

  • タスタンベコワ・クアニシ(筑波大学:比較教育学)
  • 下地ローレンス吉孝(港区立男女平等参画センター:社会学)
  • デビッド・チャップマン(クィーンズランド大学・日本研究)
主催:「移動とことば」研究会
  • 川上郁雄(早稲田大学)
  • 三宅和子(東洋大学)
  • 岩﨑典子(南山大学)

2018年11月11日:第2回アジア・アフリカ研究の視野における日本学国際シンポジウム,基調講演(川上郁雄)
「移動する子ども」とモバイル・ライブズ――国際移民時代の日本研究の課題

講演概要をダウンロード[PDF]

詳細情報は,上海外国語大学日本文化経済学院による報告[中国語]をご覧下さい。

2018年10月14日:日本語学習者・支援者のための集い@横浜
~外国につながる子どもの学びと成長に寄り添い、共に支えあう~

  • photo: 日時: 2018年10月14日(日)10:00~16:00(開場:9:30)
  • 会場: あーすぷらざ2階 プラザホール[アクセス
  • 主催: 神奈川県立地球市民かながわプラザ(指定管理者:(公社)青年海外協力協会)[WEBサイト
  • 参加費: 無料
  • 参加方法:
  • 詳細情報: チラシをダウンロード[PDF]

午前プログラム(10:00~12:30)より

基調講演:「移動する子ども」――ことばの学びをどう支え,どう共に生きるのか
講演者: 川上郁雄(早稲田大学)
パネルディスカッション:「移動する子ども」たちの主体的な進路選択・社会参加を支えるために
パネリスト: 人見美佳氏(目黒区教育委員会),松井孝浩氏(横浜市国際交流協会),ピッチフォード理絵氏(青少年自立援助センター)

参加方法,くわしいプログラムほか,詳細情報は,チラシをダウンロード[PDF]してご覧下さい。

2017年8月31日:ヨーロッパ日本語教育シンポジウム(ポルトガル,リスボン)

パネルセッション:「移動とことば」の視点から捉え直す「継承日本語」――ヨーロッパの事例をもとに/川上郁雄(早稲田大学),三宅和子(東洋大学),岩﨑典子(ロンドン大学SOAS)[参考:「移動とことば」研究会

本パネルは,超多様化社会(superdiversiy)の中で,日本にルーツを持つ大学生や成人が,いわゆる継承言語としての日本語を含む自らの多様な言語資源をどのように認識して生きているのかというテーマを「移動とことば」という視点からヨーロッパの事例を中心に議論する。この視点,すなわち空間,時間,言語間の移動を人の常態とし,また複合性・動態性・相互作用性をことばの常態と捉える視点から,複数言語環境の社会とそこで生きる人を捉え直す。したがって,どの言語で何ができるかという能力観による研究や教育ではなく,日本語を含む複言語・複文化能力を人はどのように捉え生きているのかという主体的生き方と主観的意味世界から人とことばと社会の関係を考察する。その考察を通じて,ヨーロッパにおける継承日本語としての日本語使用および日本語学習の意味や意義について再考することを目的とする。

第一の発表では,幼少期よりドイツで成長した国際結婚家族の子どもに焦点を当てる。幼少期より日本語を学んだ経験をもつ若者に対するインタビュー調査とタイで幼少期より成長した同様の経験を持つ若者に対するインタビュー調査の比較検討から,子どもに対する「継承日本語教育」のあり方を問い直す。

第二の発表は,英国の大学で日本語を専攻する自称「日本人とイギリス人のハーフ」の学生の言語やアイデンティティの意識が,日本留学中,日本留学後にどのように変遷したかを探り,留学経験のもたらすアイデンティティ間の交渉における日本語の位置付けを明らかにする。

第三の発表は,在英国際結婚家庭で日本語を一切教えられずに育った子どもたちが青年期に日本語を学び始めた事実に注目し,いかにことば(の学習)が自らにとって意味をもち主体的に選択されるかを報告し,「継承日本語」の前提となっている世界観や言語観を再考する。

川上郁雄: 「継承日本語教育」は子どもに何を与えたのか――複数言語環境で成長した若者の意識に関する独・タイ比較研究
1980年代以降,日本を出国する日本人女性が増加している。日本国外の日本人の結婚で国際結婚が8割を占め,そのうち妻が日本人女性のケースが8割以上となっている(渋谷,2014)。そのことを背景に,近年日本国外で子どもに日本語を教える「継承日本語教育」が注目されるようになった。特に欧州では「複言語キッズの Can Do」(http://mottotsunagu.blog.fc2.com)が開発されるなど,子どもへの継承日本語教育の実践や議論が活発である。
しかし,子どもの「継承日本語教育」の研究では,親の考えや意識に注目した研究はあるが,子ども自身がどのような意識で日本語を学んできたのかについての研究は少ない。一方,補習校等で日本語を継続的に学習した子どものケースが「モデル・ストーリー」として語られ,逆に,途中で日本語学習を断念したケースは否定的に語られることが多い。日本語学習の継続と中断をめぐる言説は,親子をともに不安にするだけではなく,子どものもつ複言語資源を豊かに育てる視点を失う可能性がある。
そのような問題意識から,本研究では,ドイツに暮らす国際結婚家族の子どもに焦点を当てる。幼少期よりドイツで成長し日本語を学んだ経験をもつ若者と,タイで幼少期より成長した同様の経験をもつ若者に対する,ふたつのインタビュー調査の結果を比較検討し,子ども時代の日本語学習の意味付け,自分の日本語能力についての意識,日本語も含む複言語・複文化能力についての意識,それらの意識に影響を与えた社会的要因や家族の要因を明らかにする。その考察から,日本語学習を継続しなかった若者も,主体的に日本語能力を利用して積極的に生きている姿を明らかにする。これらの結果と考察から「継承日本語教育」のあり方を問い直す。