尾関史(おぜき ふみ)

自己紹介

東京女子大学現代文化学部言語文化学科卒業。大学時代に外国籍の子どもたちへの学習支援に携わったことをきっかけに日本語教育に興味を持ち,お茶の水女子大学大学院言語文化専攻日本語教育コースに進学。修士課程修了後,韓国の大学で2年間日本語を教えました。帰国後,早稲田大学大学院日本語教育研究科博士課程に入学。2009年3月に博士号を取得しました。

2008年4月より早稲田大学日本語教育研究センター助手,2010年4月より早稲田大学日本語教育研究センター講師,2011年4月より早稲田大学日本語教育研究センター准教授として,学部生および留学生に対する日本語教育実践および研究に携わっています。

研究・関心

国や文化の間を移動しながら成長・発達を続ける子どもたちの「主体的な学び」に関心があります。子どもたちが主体的に学ぶとはどのようなことなのか,主体的な学びをどのように育んでいくのかについて考えています。自らも現場で実践しながら,子どもたちの主体的な学びを支える言語教育のあり方を模索していきたいと思っています。

学位論文

  • 尾関史(2009).『移動する子どもたちの成長・発達を支えることばの教育の構築に向けて――子どもの主体性が育む学びの可能性』早稲田大学大学院日本語教育研究科博士論文.
    • 2013年ココ出版より『子どもたちはいつ日本語を学ぶのか――複数言語環境を生きる子どもへの教育』として公刊.
  • 尾関史(2004).『多様な背景を持つ子どもの授業への参加過程の関係論的分析――言語の使い方に注目して」お茶の水女子大学大学院人間文化研究科言語文化専攻修士論文(未公刊).

研究業績

著書

複数の言語や文化の中で育つ子どもたちは,複数のことばをどのように捉え,どのように学ぶのか。そして,その過程でどのようなアイデンティティを形成しながら成長していくのか。本書ではこれらの問いに答えつつ,複数言語環境を生きる子どもたちへの「ことばの教育」を再考する。

前半では,ある外国籍の子どもに対する日本語教育実践と帰国後の学びを,約1年半にわたるフィールドワークを通して捉える。後半では,複数言語環境で育ってきた4人の若者たちにライフストーリーインタビューを行い,幼少期の経験がその後の言語習得や人間形成,アイデンティティ形成にどのような影響を与えているのかを探る。

研究プロジェクト

論文

  • 守谷智美,尾関史,坂田麗子,田中敦子,福池秋水,小高葉子(2012).留学生支援システムにおける行動指針とスタッフ・ディベロプメントに関する検討『早稲田日本語教育実践研究』1,39-54.http://hdl.handle.net/2065/34135
  • 尾関史,深澤伸子,牛窪隆太(2011).日本国外で成長する子どもたちにとっての日本語使用経験の意味――子どもたちはどのように日本語と向き合ってきたのか『リテラシーズ』9,11-20.http://literacies.9640.jp/vol09.html
  • 川上郁雄,尾関史,太田裕子(2011).「移動する子どもたち」は大学で日本語をどのように学んでいるのか――複数言語環境で成長した留学生・大学生の日本語ライフストーリーをもとに『早稲田教育評論』25,1,57-69.http://hdl.handle.net/2065/32619
  • 尾関史(2011).日本語を学ぶ子どもは自らの日本語学習をどう捉えているのか――子ども自身の語りから探る日本語学習『小出記念日本語教育研究会論文集』19,57-72.
  • 尾関史,川上郁雄(2010).「移動する子ども」として成長した大学生の複数言語能力に関する語り――自らの言語能力をどう意識し,自己形成するのか」細川英雄,西山教行(編)『複言語・複文化主義とは何か――ヨーロッパの理念・状況から日本における受容・文脈化へ』(pp. 80-92)くろしお出版.
  • 広瀬和佳子,尾関史,鄭京姫,市嶋典子(2010).実践研究をどう記述するか――私たちの見たいものと方法の関係『早稲田日本語教育学』7,43-68.http://hdl.handle.net/2065/29804
  • 尾関史(2009).JSLの子どもの成長・発達を支えることばの力を育てる――子どもの主体的な学びをデザインする 川上郁雄(編)『「移動する子どもたち」の考える力とリテラシー――主体性の年少者日本語教育学』(pp.38-60)明石書店.
  • 尾関史(2008).「意味創り」を目指したことばの支援の可能性――移動する子どもたちが主体的に学習に参加するために『早稲田日本語教育学』3,11-24.http://hdl.handle.net/2065/28928
  • 尾関史(2007).主体的な自己実現を目指す年少者日本語教育に向けて――ある外国人児童への日本語支援からの気づき『早稲田日本語教育学』1,11-23.http://hdl.handle.net/2065/26446
  • 尾関史(2007).年少者日本語教育におけることばの教育についての一考察――JSLの子どもたちのことばの学びの捉えなおしに向けて『年少者日本語教育実践研究』9,20-31.[DOWNLOAD: PDF
  • 尾関史(2007).多様な背景を持つ子どもの授業への参加過程の関係論的分析――言語を通じた関係性構築に注目して『言語文化と日本語教育(お茶の水女子大学日本言語文化学研究会)』33,11-20.http://hdl.handle.net/10083/50539
  • 尾関史(2007).子どもの主体性を活かした「ことばの学び」をデザインする――「手紙絵本プロジェクト」の実践から『早稲田大学日本語教育実践研究』6,27-36.[DOWNLOAD: PDF
  • 尾関史(2007).学習者の主体性を活かした授業に向けて――学習者と教師の視点から捉える学習者主体『早稲田大学日本語教育実践研究』6,185-193.[DOWNLOAD: PDF
  • 尾関史,中川智子(2007).絵本を活用して「ことばの力」を育む――地域日本語教室「わせだの森」における実践を通して『早稲田大学日本語教育実践研究』6,3-12.[DOWNLOAD: PDF
  • 尾関史(2006).JSL児童生徒が授業に参加するために必要な「ことばの力」とは何か――子ども自身の持つ文脈への注目の必要性『早稲田大学日本語教育実践研究』5,55-64.http://hdl.handle.net/2065/5762
  • 尾関史(2005).二言語環境下の教室における二言語の使い方の変容過程――来日間もない帰国児童の事例から『日本学報』63,67-78.
  • 尾関史(2004).『多様な背景を持つ子どもの教室の授業への参加過程の関係論的分析――言語の使い方に注目して』お茶の水女子大学大学院修士論文(未公刊).
  • 尾関史(2002).外国人児童の日本語習得に影響を及ぼす社会文化的要因――外国人児童と日本人児童のpeer interactionに注目して『東京女子大学言語文化研究』11,17-34.

発表

  • 尾関史(2013年3月16日).「複数言語環境で育った若者たちにとっての日本語・日本語学習――『自分史を書く』クラスの実践を通して見えたもの」タイ国日本語教育研究会第25回年次セミナー(国際交流基金バンコク日本文化センター).
  • 黒田史彦,尾関史,古屋憲章,宮﨑七湖,李羽喆(2013年3月10日).「留学生の自律的漢字学習を支援するためのワークショップの試み」日本語教育方法研究会第40回研究会(東京大学).
  • 尾関史(2012年10月14日).「自己形成・キャリア形成を支える日本語教育実践とは――『自分史を書く』クラスの実践から」日本語教育学会2012年度秋季大会(北海学園大学)『2012年度日本語教育学会秋季大会予稿集』(pp. 249-250).
  • 尾関史,青木優子(2012年8月18日).「国際結婚家庭における親の言語教育意識と子どもの日本語習得――韓国在住の日韓国際結婚家庭へのインタビューから」2012年日本語教育国際研究大会(名古屋大学)『日本語教育国際研究大会名古屋2012予稿集【第1分冊】』(p. 161).
  • 尾関史(2012年6月10日).「移動の中で育った若者たちのキャリア形成と複数言語」異文化間教育学会第33回大会(立命館アジア太平洋大学)『異文化間教育学会第33回大会発表抄録』(pp. 154-155).
  • 尾関史(2012年3月4日).「移動の中で育った若者は『日本語』・『日本語学習』をどう捉えているのか――学齢期に日本に滞在した若者たちの語りからの考察国際研究集会」国際研究集会「移動する子どもたち」のことばとアイデンティティ(早稲田大学).
  • 尾関史(2011年8月21日).「子どもたちの成長・発達における日本語習得の意味――日本語を学んできた若者たちの語りに注目して」2011世界日本語教育研究大会(中国・天津外国語大学).
  • 尾関史(2011年3月6日).「日本語教育実践において自己を見つめることの意味 ―『自分史を書く』クラスの実践から」国際研究集会「言語教育とアイデンティティ形成――ことばの学びの連携と再編」(早稲田大学).
  • 川上郁雄,尾関史,太田裕子(2010年8月1日).「複数言語環境で成長した留学生・大学生はどのように日本語を学習しているのか――「移動する子ども」の視点から大学生の日本語教育を問い直す」2010世界日本語教育大会(台湾・国立政治大学).
  • 尾関史(2010年5月22日).「幼少時に複数言語環境で成長した大学生へのインタビュー調査から」川上郁雄,フィフィ,尾関史,トムソン木下千尋,西原鈴子『「移動する子どもたち」のことばの学びをどう支えるか――言語教育,言語能力意識そして自己形成』日本語教育学会2010年度春季大会.
  • 尾関史,深澤伸子,牛窪隆太(2010年3月23日).「もう一つの「日本語教育」――日本国外で成長する子どもたちにとっての日本語学習の意味」タイ国日本語教育研究会第22回年次セミナー(泰日経済技術振興協会附属語学学校).
  • 武一美,古屋憲章,坂田麗子,市嶋典子,尾関史,田中里奈,浅井涼子,井口翔子(2010年3月20日).「自律的日本語学習の実現に向けて――学びをつなぐポートフォリオとは何か」早稲田大学日本語教育学会2010年春季大会パネルディスカッション(早稲田大学).
  • 牛窪隆太,尾関史,深澤伸子,渡貫善華(2009年12月18日).「教室の中と外を結ぶ日本語教育――ある帰国生の学びの軌跡から」第7回ことばと文化の教育を考える会(早稲田大学).
  • 尾関史,川上郁雄(2009年9月18日).「「移動する子ども」として成長した大学生の複数言語能力に関する「語り」の分析」リテラシーズ研究集会2009「複言語・複文化主義と言語教育」(早稲田大学)『リテラシーズ研究集会2009複言語・複文化主義と言語教育予稿集』(pp.5-11).
  • 尾関史(2009年7月4日).「日本語を母語としない子どもたちにとっての『主体的な学び』を考える」第18回小出記念日本語教育研究会(名古屋外国語大学)『第18回小出記念日本語教育研究会予稿集』(pp.55-58).
  • 尾関史(2008年7月10日) 「子どもの成長を支える年少者日本語教育に向けて――子ども自身の学びに対する意識とことばの学びの関係」日本語教育学世界大会(韓国:釜山外国語大学)『日本語教育学世界大会2008 予稿集1』(pp.260-263).
  • 尾関史(2007年10月7日).「移動する子どもたちの『ことばの力』を育てる――子どもを取り巻く環境の多元的な把握から」日本語教育学会2007年度秋季大会(龍谷大学)『2007年度日本語教育学会秋季大会予稿集』(pp.161-166).
  • 尾関史(2007年3月24日).「主体性を活かした学びはどのように子どもの学びを広げていくのか――自己実現のための年少者日本語教育に向けて」早稲田大学日本語教育学会2007年春季大会(早稲田大学)『早稲田大学日本語教育学会2007年春季大会研究発表会資料集』(pp.13-16).
  • 尾関史(2006年2月19日).「多様な背景を持つ子どもの授業への参加過程の関係論的分析――言語を通じた関係性構築に注目して」年少者日本語教育学を考える会第4回研究集会(早稲田大学)『年少者日本語教育学を考える会第4回研究集会予稿集』(pp.6-11).
  • 尾関史(2004年7月10日).「二言語環境下の教室における二言語の使い方の変容過程――来日間もない帰国児童の事例から」韓国日本学連合会第2回国際学術大会(韓国:東西大学校)『韓国日本学連合会第2回国際学術大会予稿集』(pp.505-509).

教材

  • 宇都宮裕章(編),野田敏郎,尾関史,藤田沙希,濵村久美(2010).『対話でみがくことばの力――互いの異なりを活かすグループワーク 26』ナカニシヤ出版.[amazon.co.jp
  • 春原憲一郎,谷啓子(監),池上摩希子,尾関史,谷啓子,矢崎満夫(2009).『こどもにほんご宝島』アスク出版

その他

  • 広瀬和佳子,尾関史,鄭京姫,市嶋典子(2012年7月27日).「私たちの実践研究のその後――方法論を越えて」質的調査法研究会にて口頭発表(早稲田大学).
  • 尾関史(2012年11月6日).「年少者のための日本語教育」日野国際友好クラブ主催「ボランティア教師養成講座・実践コース」(日野市中央公民館).
  • 尾関史(2012年2月11日).「子どもたちのことばを関係の中で育む――子どもたちのことばの学びをどう捉え・どう支えるか」平成23年度文化庁日本語教育委託事業・玉川大学主催「定住外国人親子に対する日本語指導者養成講座」(玉川大学).
  • 尾関史(2011年11月20日,12月4日).「子どもたちのことばの学びをどう捉え・どう支えるか」西東京市日本語ボランティアフォローアップ講座(西東京市役所).
  • 尾関史(2011年11月8日).「年少者のための日本語教育」日野国際友好クラブ主催「ボランティア教師養成講座・実践コース」(日野市中央公民館).
  • 尾関史(2011年10月29日).「複数のことばの中で育つということ――外国にルーツを持つ子ども達の抱える課題と支援」東京YWCA日本語&学習支援「いちごの部屋」研修会(東京YWCA武蔵野会館).
  • 尾関史(2011年2月12日).「子どもの声を引き出す授業作り」平成22年度文化庁日本語教育委託事業・玉川大学主催「定住外国人親子に対する日本語指導者養成講座」(玉川大学).
  • 尾関史(2010年12月4日).「こどもたちのことばの支援をデザインする――『こどもにほんご宝島』をヒントとして」多文化共生センター東京主催「平成22年度児童向け日本語ボランティア支援講座」(足立区教育相談センター).
  • 尾関史(2010年11月13日).「子どもたちへのことばの支援を考える――『こどもにほんご宝島』をヒントとして」平成22年度文化庁日本語教育委託事業・インターカルト日本語学校主催「実践力を身につけるための日本語指導者養成講座」(インターカルト日本語学校)
  • 尾関史(2010年11月9日).「年少者のための日本語教育」日野国際友好クラブ主催「ボランティア教師養成講座・実践コース」(日野市中央公民館).
  • 尾関史(2010年7~9月,2011年1~3月).「年少者に対する日本語教育」コースコーディネーター・講師,朝日カルチャーセンター朝日JTB・交流文化塾「日本語教師養成講座」(朝日カルチャーセンター新宿教室).
  • 尾関史(2006年8月26日).「移動する子どもの認知的発達を止めない多読プログラム」母語・継承語・バイリンガル教育(MHB)研究会主催「学齢期の子どものための多読教材開発ワークショップ」にてポスター発表(桜美林大学).
  • 尾関史(2008年2月16日).「移動する子どもたちの『ことばの力』を育てる」GUの会にて口頭発表(東京女子大学).
  • 尾関史(2008年5月30日).「移動する子どものことばの学びを捉える――エピソード記述による試み」質的調査法研究会にて口頭発表(早稲田大学).
  • 尾関史(2009年11月28日).「子どもたちへのことばの支援の実際――ことばの学びをどう創るか」西東京市日本語ボランティアフォローアップ講座にて講演(西東京市イングビル).
  • 尾関史(2009年12月5日).「子どもたちのことばの学びを支える――『こどもにほんご宝島』をヒントにして-」GUの会にて口頭発表(東京女子大学).
  • 尾関史(2010年2月27日).「こどもはどうやってことばを学ぶのか――関係性の中で育つ子どものことば」バイリンガルの子供のための日本語同好会主催セミナーにて講演(日本人会本館大会議室).