英国見聞録

浅井涼子(研究内容紹介

第2回 「Sloughでの生活」[2008-01-07]

新年明けましておめでとうございます。Slough Grammar School(以下SGS)に赴任して,早くも3か月が過ぎました。まだまだ戸惑うことはあるものの,最近はこちらでの生活にもだいぶ慣れ,実践内容について考え,振り返る余裕が出てきました。今回は,私の仕事内容や休日の過ごし方をご紹介します。まもなく,来年度のブリティッシュ・カウンシル日本語指導助手派遣プログラムの参加募集が始まるとのこと,今後応募を考えていらっしゃる方のご参考になればと思います。

赴任する学校によって,指導助手に求められる仕事内容は大きく異なるようです。学校の状況,指導助手に求められる仕事内容を大別すると,以下のようになります。

  1. 日本語教育が盛んで,日本語教員が何名かおり,主に授業中のアシストを求められる学校
  2. 日本語教員はいるものの,手探りの状態で日本語教育が行われており,授業の計画や運営にも大きく携わることが求められる学校
  3. 日本語教員がおらず,授業の準備から運営まで任される学校

SGSは三者のうち,3.にあたります。

1.Slough Grammar School

SGSは,7年生(11歳)から13年生(18歳)の生徒が学んでいる,落ち着いた雰囲気の学校です。2004年のOFSTED(Office for Standards in Education:教育基準局)の調査で“very good school with no issues to address”という評価を得たそうです。また,毎年オックスフォードやケンブリッジなどの有名大学へ進学する生徒もいるそうです。

語学に関しては,Language collegeということで,語学教育に力を入れています。フランス語,ドイツ語,スペイン語の主要言語の他,イタリア語,中国語,日本語,ポルトガル語,アラビア語,パンジャブ語が教えられています。また,生徒の言語・文化背景が多様であることから,異文化理解教育にも力を入れているようです。

2.私の仕事内容

前述したように,SGSには日本語教員はいないため,授業の計画から運営まで全て私一人で行っています。SGSでは生徒に教える以外に,保護者や教員向けのクラスも受け持っているほか,近隣の小学校でも教えています。勤務時間は,ブリティッシュ・カウンシルの規定に基づき週12時間です。金曜日はお休みです。SGSには,フランス語,ドイツ語,スペイン語,イタリア語,中国語のアシスタントがブリティッシュ・カウンシルから派遣されており,彼女たちも私と同様,週4日勤務しています。私の一週間の時間割は以下の通りです。

MonTueWedThu
1
8:35-9:40
---生徒C(12年生)
2
9:40-10:40
生徒A(12年生)-生徒B(12年生)-
3
11:00-12:00
----
4
12:00-13:00
--Complementary Studies(*1)生徒D(12年生)
5
13:00-14:00
-小学校-生徒E(10年生)
6
14:00-14:40
--Leading Edge(*2)
13:45-15:15
-
7
14:40-15:40
---
8
15:45-16:45
教員クラスFun Club(*3)--
-
18:00-19:00
-保護者クラス(中級)保護者クラス(初級)-
表注
(*1)12年生対象。選択制で半期間(6回程度)のみの授業。
(*2)7~9年生対象。生徒の選択肢を広げるため,言語のほかHealth and social education,Community and serviceなどのカテゴリーから様々な授業が提供されている。Complementary Studies同様,短期クラスだが,生徒の選択制ではなく,教師によって振り分けられる。
(*3)自主参加のクラス。主に7年生が参加している。

廊下に掲示したFun Clubからの新年の挨拶時間割をご覧の通り,小学生から成人まで,様々なクラスを受け持っていますが,やはりメインとなる授業は,生徒A~Eとの授業です。これらの生徒はGCSE(General Certificate of Secondary Education:英国の中等教育修了試験)を目標に日本語を学んでいます。

日本語の授業を正規で受講しているのは生徒A~Eの5名のみですから,SGSにおいて日本語はメジャーな言語とは言えません。Fun ClubやLeading Edge,Complementary Studiesを通して,少しでも多くの生徒に日本に興味を持ってもらえるように頑張りたいです。[写真:廊下に掲示したFun Clubからの新年の挨拶]

3.休日の過ごし方

ある休日の夕暮れ普段の休日は,SGSで共に働くアシスタントと過ごすことが多いです。ウィンザーやロンドンに出かけて行って,買い物したり,カフェやパブでおしゃべりしたりと,のんびり過ごしています。[写真:ある休日の夕暮れ]

また英国では,ほとんどの博物館や美術館に無料で入館できます。かの名高い大英博物館でさえです。こういった場所を訪れるのも楽しみの一つです。

ドイツのクリスマス・マーケットさらに,こちらでは,学期の中間および学期と学期の間に2週間程度のホリデーがあります。私の任期の10月から5月の間にも5回のホリデーがあります。やっと慣れてきたという頃に休みが入るので,休み明けは振り出しに戻った感じでちょっと落ち着かないのですが,英国国内はもとよりヨーロッパ諸国を旅行する良い機会です。年末にもホリデーがあり,一緒に来英した日本語指導助手仲間とともにヨーロッパ3か国を周遊してきたところです。ドイツで本場のクリスマスを,ウィーンで一味違った年越しを満喫してきました。[写真:ドイツのクリスマス・マーケット]

このような日々を送っています。日本のアニメやドラマ,歌などから日本語に興味を持ち,GCSEに向けて熱心に学ぶ生徒,Leading Edgeのように,ひょんなことから日本語を学ぶことになってしまった生徒,日本企業で働いていることが学習の動機となっている保護者など,私と共に日本語を勉強している人たちの背景は様々です。それぞれ,日本語の授業に求められることは異なり,試行錯誤の毎日です。

年も明けたことですし,決意を新たに,ここで私にできることをしっかり考え,実践していきたいと思います。

浅井 涼子(2008/1/7)

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