Albion College:アルビオン大学
- 報告者:設楽智恵子
- 米国・ミシガン州・アルビオン大学 Department of Foreign Languages,Visiting Instructor
全学生数1970人の小さい大学。ほとんどの授業が一クラス25人以内しか登録できないようになっている。
1.アルビオン大学のDepartment of Foreign Languages の概要
Department of Foreign Languages(以下,DFL)では,フランス語,ドイツ語,スペイン語の専攻があり,日本語が入門コース開設されている。教員数はフランス語に3人,ドイツ語に2人,スペイン語に3人いる。DFLの教員のオフィスはすべて同じビルの同じ階にあり,顔を合わせることが多い。週に一度,DFLの教員およびNative Speaker Teaching Assistants(以下NSTA)で会議を行う。NSTAについては,専攻の3言語に各2~3名ずついる。NSTAは大学で開講されている科目の履修,Tutorialsで授業を行うこと,I-house(8.参照)に住むことが義務付けられている。
2.Visiting Instructorについて
アルビオン大学で与えられるポジションはVisiting Instructorである。日本語のコース運営をほとんど一人で行う。授業,シラバスなどについてはすべて任されており,行事,イベント等も中心になって行う。わからないことや問題があれば,学科長に相談することができ,親身になって対応してくれる。
3.日本語コースについて
2005年8月(秋学期)から同学科の外国語科目の一つとしてコースが開始する。
2005年秋学期の授業
(1) Japanese 101 Elementary Japanese(以下,JAPN101)
- 授業日:月曜日・水曜日・金曜日(各50分)+Tutorials(クラスを2つに分け,火曜日と木曜日に実施)
- 学生数:14人(1人聴講を含む)
- 教科書:『げんき I』
ほとんどの学生が日本語をゼロから始めた学生である。最終的に『げんき I』の第5課の途中まで進んだ。授業が始まった頃は,緊張感のあるクラスだった。アメリカの学生は授業中に質問することを決して躊躇わず,わからないことがあればすぐに手を上げ質問する。また,授業に関しても,英語による授業,文法説明を求める傾向が強い。私は英語力があまりなく,最初は学生の質問などにあまり答えることができなかった。できない英語で説明するよりも,と思い英語の文法説明をハンドアウトに,授業中には日本語を使う,といった授業を行っていたが,日本語での授業に新鮮味を感じ快く受け入れた学生も一部いたが,導入を導入だとわかっていない学生,今何をしているのかわからないといった感じの学生もおり,問題もあった。時間が経つにつれて,理解している学生が英語で他の学生に説明したりするようにもなった。学生にはとても助けられた。また,学生同士も次第に仲良くなり,授業を盛り上げてくれる学生も数人出てきて,クラスの雰囲気がよくなった。うるさくなることもあったが,私が話し出せば騒いでいる学生に静かにするよう注意する学生がおり,とても協力的であった。また,そういったときに「”Be quiet.”は日本語で何と言いますか。」といった質問もあったりした。
学生のほとんどが,アジア言語に興味がある,日本や日本の文化,アニメなどに興味があるといった理由から授業を履修していたが,中には真剣に日本への留学を考えている学生もおり,授業の進度などで他の学生との兼ね合いが難しいこともあった。
(2) Independent study
- 授業日:月曜日・水曜日・金曜日(各50分)
- 教科書:『げんき I』『みんなの日本語 I』
Independent Studyとは,授業と関連した内容ではあるが授業とは異なる分野について勉強したい学生が,教師と一対一で授業を行う。当初JAPN101を登録していた学生の一人が,すでに日本語学習暦が5年あったため途中からIndependent Studyに変更した。授業では英語は一切使用せず,日本語のみを使用した。主に漢字,作文,ジャーナル,文法の復習を授業で扱っていた。
2006年春学期の授業
(1) Japanese 101 Elementary Japanese
- 授業日:月曜日・水曜日・金曜日(各50分)+Tutorials(クラスを2つに分け,火曜日と木曜日に実施)
- 学生数:14人
- 教科書:『げんき I』
ほとんどの学生がゼロからのスタートであった。秋学期のJAPN101の反省を基に進めていった。秋学期では成績の配分がテスト重視であったので,春学期は出席,参加点を重視にした成績配分にした。しかし,欠席者が多かったため,あまり効果がなかった。
(2) Japanese 102 Elementary Japanese continued(以下,JAPN102)
- 授業日:月曜日・水曜日・金曜日(各50分)+Tutorials(火曜日に実施)
- 学生数:7人
- 教科書:『げんき I』
学生のうち6人が2005年秋学期にJAPN101を履修した学生である。残りの1人は高校のときに日本語を学習した経験があったためJAPN102から履修を開始した。少人数だったので,文型を導入した後に,学生に自由に文を作らせそれを口頭で発表する形が多かった。学生が好きな語彙を用いたり,好きな文を作ることで,とてもクラスの雰囲気がよかった。しかし,語彙数が少なくなってしまったのと,少人数であっても人前で答えるのが苦手な学生はなかなか発言できなかったので,改善が必要である。教材は『げんきI』を使ったが,適宜『みんなの日本語』など他の教科書から練習問題や英語の文法解説などを引用した。漢字教材は『Basic Kanji Vol.1』を使用した。
4.Tutorials
Tutorialsとは通常授業の他に週に一度行われる授業のことで,通常クラスを半分に分け,約10人程度の学生数で開講される(JAPN102はクラスを分けずにTutorialsを行った。)授業時間は通常クラスと同様50分。他言語のクラスではNSTAが授業を担当することになっているが,日本語コースの場合は私が担当した。
JAPN101では主に授業の復習やダイアローグ,文化的な事を中心に教えた。(折り紙,温泉,こたつ,トイレ(和式・洋式),着物,浴衣など。)学生の意見では,Tutorialsは少人数なので,気兼ねなく発言ができて良いとのことだった。JAPN102では,授業の復習や日本の大学生活,はがきの書き方,日本の漫画,アニメの紹介などを扱った。(写真:折り紙をしたときの様子)
5.Office hour
2005年秋学期は週に1回授業前に1時間,2回授業後に2時間ほど時間を取ったが,質問などに来る学生はあまりいなかった。2006年春学期は週に3回授業後に1時間ほど時間を取った。Make-up quizなどをすることが多かった。Office hour以外の時間にたまに話しに来たり質問しに来たりする学生もいた。
6.Tutoring・個人インタビュー
2005年秋学期の授業開始約1ヵ月後に,現状把握のため学生に個人インタビューを行った。授業のペースについて,遅いと感じる学生,早いと感じる学生共におり,希望がある学生にはTutoringの時間を設けた。希望した学生は9人いたが,毎週欠かさず最後まで来た学生は3人だけであった。内2人は週に2回来ていた。とても勉強熱心であった。2006年春学期にもJAPN101,JAPN102の学生に個人インタビューを行った。JAPN101の学生は提出物の確認をすることが多かった。授業のペースなどは秋学期に一度同じJAPN101を受け持ったこともあり,学生間で意見の差はあまりなかった。JAPN102は少人数だったため,比較的満足している学生が多く,あまり問題はなかった。
7.教材・教具について
教材は私が日本から持参した広告,情報誌,雑誌,本,CDなどがあり,教科書は『げんき』以外に『みんなの日本語』『JAPANESE FOR COLLEGE STUDENTS』『TOTAL JAPANESE』(3冊のみ)『なかま』『日本語90日』などがある。他には文法,漢字,発音,読解,作文などの本や教科書がある。それ以外には特に何もなく,カードパネルなど,補助教材が不足している。
8.I-house
I-houseとは,Gerstacker International Houseの略で,外国語の3言語のいずれかを専攻もしくは副専攻とする学生がNSTAと共に生活している。I-houseの中には,French house, German house, Spanish houseと名づけられた部屋がそれぞれあり,室内では当該言語を話す環境になっている。私はI-houseの中にあるGuest Apartmentに住んでいる。生活に必要な家具,食器などは備え付けられている。広くてとてもいい部屋である。
I-houseには大きなラウンジがあり,DFL主催のイベントや各言語のミーティングなどが行われる。