わせだの森:森で育まれた卒業生のいま

新しい場づくりのライブ感!――福村真紀子

東京外国語大学留学生日本語教育センター非常勤講師・早稲田大学日本語教育研究センター非常勤インストラクター・「多文化ひろばあいあい」代表:紹介ページ

会社員時代,私は利潤追究の圧力による忙しさと仕事のつまらなさに絶望していました。専業主婦時代,社会の一員ではない気がして閉塞感からウジウジしていました。日本語学校の教師時代は,枠組みに従って教える歯車状態に嫌気がさしました。

「実践1:わせだの森」は,思い通りにならない現状の辛さに耐えるという,それまでの私の社会参加の仕方を覆しました。実践は,ゼロの状態から場をつくります。「この活動にはどんな意味があるの?」が合言葉。「何をする?」の前に,「なぜする?」という問いが立ちます。仲間と何度も議論を重ね,試行錯誤を繰り返します。責任もありますが,夢とやりがいがあります。「新しい場づくりのために,私はここにいて自分の意見を述べている!」という爽快なライブ感!現状を自分から変えようとしなかった私とは180度違います。そして,自分でも新しい場づくりをしたくなり,「わせだの森」をモデルとして,「多文化ひろばあいあい」という地域のサークルをつくりました。多様な言語・文化背景を持つ親子がおしゃべり,料理,ダンスなどを一緒に楽しみます。いまや,その運営が私のライフワークですが,大学で日本語を教える時にも場づくりの精神は生きています。

(2009年秋履修)

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