岡田亜矢子(おかだ あやこ)

博士後期課程2014年度秋入学

研究テーマ

興味を持っているテーマは,人が一生を通じて学びを深めていくにはどうすればよいかを理解することです。私たち人間は生きていく上で永遠に学び続けていき,「学び」に終わりはありません。言語教育において,言語知識はいうまでもなく大切ですが,それだけでなく,一生を通じて学び続けるのに必要な学ぶ力,理解力を身につけていくこと,これは「〇〇教育」と名の付く場において非常に大切なことだと考えています。

生涯における学びでは,ただ知識を得たという表層的なレベルに止まらず,深層的なレベルにまで学びを深めるための理解力をつけていくことが重要だと思います。そして深層的なレベルにまで学びを深めるには深い内省を伴い,それにはメタ認知力が必要です。また深い内省ができるとは,自律学習ができることにもつながります。自律した学習者であることは,生涯学んでいく上で欠かせないことだと考えます。このようなことから,現時点では具体的に次の2点を研究テーマとしています。

  • 人が生涯の学びを深めるための理解力をつける日本語クラス(対話活動)をデザインすること
  • デザインされた対話活動において,実際に対話活動が理解,特に深い内省・省察をもたらしているか

対話活動には,日本人も含め様々な文化背景を持つ人々が参加します。対話活動に「学びの共同体」(佐藤,2012)をつくって,その中でそれぞれが思考を掲げて伝え合い,そのプロセスで互いに学び合い,そこから新しい考えや価値観を創り出します。このように自ら学びを発見し,探求するようなクラスをデザインして実践することが,私が一生関わってやっていきたい実践であり研究です。

2016年秋より,大学の授業外で「日本語対話活動 ことばの森」を実践しています。(2018年春期募集案内[PDF]

  • 佐藤学(2012).『学校を改革する――学びの共同体の構想と実践』岩波ブックレット.

参考

業績

論文

  • 岡田亜矢子(2018).留学生と日本人の混成グループによる対話活動の再設計に向けて――対話がどのように生まれ,つくられるのかを観点に『日本語教育』169,62-77.http://www.nkg.or.jp/kenkyusha/keisainaiyo
  • 岡田亜矢子(2014).日本語クラスにおけるディスカッションへの意識に関する一考察――留学生に対するアンケート結果から『神戸大学留学生センター紀要』20,39-59.http://www.lib.kobe-u.ac.jp/repository/81005486.pdf
  • 岡田亜矢子(2012).ことばの学習と内省を促す対話活動のデザインと実践――「伝え合いの活動」参加者のインタビューから『大阪大学国際教育交流センター研究論集 多文化共生と留学生交流』16,107-121.
  • 岡田亜矢子(2011).学習者は対話から何を得たのか――「伝え合いの活動」後の内省から考える『同志社大学日本語・日本文化研究』9,95-112.
  • 岡田亜矢子(2007).『接触場面における「伝え合い」は何を可能にするのか――「共通理解」を共有するプロセスを見つめ直す』早稲田大学大学院日本語教育研究科修士論文(未公刊).[概要書
  • 岡田亜矢子(2006).対等な関係性と相互学習をめざした地域日本語教育――「お話しグループ」5回目の実践から見えたこと『早稲田大学日本語教育実践研究』5,3-12.http://hdl.handle.net/2065/5768
  • 岡田亜矢子,パク・エギョン,パク・ミア,ルイ・ポーヤンイバ(2006).コミュニケーションのための発音指導実践『早稲田大学日本語教育実践研究』4,117-126.

発表

  • 岡田亜矢子(2021年3月).「留学生が自身の興味・関心をトピックとして提供した日本語対話活動の実践研究――活動がもたらした学びとは」早稲田日本語教育学会2021年春季大会口頭発表(早稲田大学).
  • 岡田亜矢子(2016年5月).「どのように対話が生まれる・つくられるのか――留学生と日本人ボランティアによるグループ対話活動実践から見えたこと」2016年度日本語教育学会春季大会ポスター発表(目白大学).
  • 岡田亜矢子(2015年9月).「大学での日本語スキル教育に交流と対話の視点を取りいれる――研究室で留学生が直面する問題に注目して」早稲田大学日本語教育学会2015年秋季大会(早稲田大学).
  • 岡田亜矢子(2007年12月).「接触場面の『伝え合い』における参加者のカテゴリー――地域日本語教育実践から見えたこと」(ポスター発表)お茶の水女子大学日本言語文化学研究会第35回研究会(東京:お茶の水女子大学).