修士論文審査に当たっての方針と姿勢
修士論文審査に当たっては,以下の点を重要なポイントして評価の対象とする。
- テーマと自分との関係をどのように捉えているか。
- さまざまな議論をどのように受け止めているか。
- 研究の目的と内容および結論の関係をどのように考えているか。
1.は,筆者の問題意識のありようを問うものである。テーマと自分との関係を論文として記述する以上,自分にとってなぜこの研究なのか,という視点を明確にすることが不可欠であると考える。たんなる一般論として,あるいは他者の言説の範囲を出ないような問題意識の持ちようについては鋭く批判的に評価する。そのためにも,研究の動機をよく見つめ,「私はなぜこの研究なのか」を常に振り返ることが必要。
2.は,従来の議論の中での筆者の研究の位置づけの問題である。日本語教育は,現在,さまざまな学際的な研究となりつつある。この分野において,自分の関連する分野や事柄しか見ない,というだけでは,もはや立ち行かない状況となっている。したがって,「言語とは何か」「コミュニケーションとは何か」「教育とは何か」という本質的な問題を含めた,さまざまな議論をどのように受け止め,それを自分の研究においてどのように扱っているかが重要である。この姿勢が,教育研究者としての資質の問題ともかかわっていると判断する。
3.は,論文としての,論理的一貫性の問題である。研究目的として筆者の主張が明確に記述されているか,そのことがデータの上でどのように実証されているか,そして,結論としての主張が,研究全体の目的として提起した問題の解決として機能しているか,という点である。
以上の3点を中心に,修士論文全体を総合的に判断し,評価することとする。
なお,この評価ポイントは,修士論文審査のために作成したものだが,一般の論文執筆の際にも有効であると考えている。
2006年2月6日 細川 英雄